生産場所を中国からその他アジア地域、特にベトナムへ移すニュースを最近よく見かけます。中国の人件費が高くなっているので、この動きは以前からありましたが、米中貿易戦争が始まってから、さらに加速しているようです。
その中で、今回ベトナムの製造業を取り上げた記事を読みました。7月12日付のLos Angeles Timesの記事です。
◆要約
・ベトナムは安価に品質の良い製品を供給できる。ただし、必ずしもすべての面で中国より安いというわけではない。
・2019年1~5月のベトナムからアメリカへの輸出金額は、前年同月比36%アップ。
・ベトナムは世界で最も早く成長している国の一つ。ただ、中国からの事業移転を吸収できるほど大きくもなく、十分発展していない。
・実際、生産キャパ不足、コスト競争力不足で、複数のベトナム企業(記事内ではアパレル企業)は注文を断っている。また、ベトナムの港もコンテナ船をさばくのに苦労している。
・ベトナムは、安くて生産が容易なビジネスを奪っている。ただし、複雑な製造業はまだ(Cosmo Sourcing創業者コメント)。
・それでもここ10年で、サムスン、インテル、キヤノンなどの付加価値の高い製品も請け負うようになってきている。サムスンはスマートフォン製造のため、150,000人以上をベトナムで雇用している。安価な人件費を求めて、同社は2011年より中国からベトナムへ生産の移転を開始。
・企業を誘致するポイントは、港、道路、鉄道などのインフラ整備、視認性及び信頼性を高めること。解決策の1つとして、ベトナムの共産主義者は海外からの投資を期待する。
・ベトナム人口9,700万人の内、3分の2以上は35歳以下というベトナム経済を上昇させる魅力的な環境がある。
中国の人件費高騰、米中貿易戦争の影響により、中国からベトナムへ事業を移す企業が増えています。記事内ではサムスン、インテル、キヤノンが挙げられています。
任天堂もSwitchの生産をベトナムで始めましたね。iPhoneはこれからだったかな?
人件費は中国よりベトナムの方が安いはずですが、今回読んだ記事からは(少なくともアパレル業界では)ベトナムはコスト競争力ではそこまで強くないと感じてしまいます。ある一例だけかもしれませんが。
人件費が安くてもコストが下がらないということは、インフラや効率の問題ですかね。この点は時間が解決してくれるかな。
人口9,700万。その内、3分の2以上が35歳以下と非常に魅力的な市場です。ただ、あの巨大な中国と比べると、国土の大きさと人口の多さはさすがに太刀打ちできません。
このまま中国からベトナムへ生産場所が移管し続けると、どこかで限界が来ますね(^ ^; その時は別の国の出番ですね。
それから雇用のインパクトも大きいですね。サムスンのスマートフォンだけで、15万人以上です。普段、雇用者の数を意識することはないので、私にはこの数字はちょっと衝撃でした。
生産場所が移るということは雇用も一緒に移りますね。私はこの点が抜けていました(^ ^; 米中貿易戦争は中国国内の物価が上がるだけではなく、雇用へのインパクトもあるので、中国経済はじわじわダメージを受けていきそうですね。
となると、中国経済の停滞につながりますが、いつまで続くんでしょう?この貿易戦争が終わるまで?これくらいは中国は耐えられるのかな。。中国の政策にも今後注目していきたいです。
以上
◆参考文献
Los Angels Times, "Vietnam strains to reap the rewards of the U.S.-China trade war"
https://www.latimes.com/world/la-fg-vietnam-trade-war-20190712-story.html