Visaの分析記事を読みました。VisaはMastercardよりも良くないけど、いい銘柄だよと説明してくれています。2社を比較しているので、Mastercardの分析記事にもなっています。
日本ではクレジットカードはVisaの方が有名だと感じています。なのに株価はMastercardの方が$100くらい高いです。私にはずっと疑問でしたが、今回の記事を読んで理解できました。
◆要約
・成長率の高い地域でのポジショニング、即時決済分野におけるリーダーシップなど、多くの要となる部分でVisaはMastercardに後れをとっている。
・2社のReturn on Invested Capitalを比較すると、Mastercardの平均40%に対し、Visaは平均20%と倍の差がある(表1、2参照)。
・Visaはアメリカ、及びヨーロッパにフォーカス。(電子商取引市場はまだ成長するが)何れも成熟した市場で、クレジットカードの使用率も高い。アジア太平洋地域でのVisaカードのシェアは20%程度。
・対してMastercardは長期的な成長戦略を持つ。新興国市場は所得の安定した成長が見込めるので、カードによる支払いの増加も期待できる。インターネットの浸透もカード決済の成長につながる。
・Mastercardの決済量内訳はアメリカが35%なのに対し、国外は65%(Visaはアメリカが45%、ヨーロッパが55%)。Mastercardの事業の3割はアジア太平洋地域でのもの(表3参照)。将来の成長に関して同社はVisaよりも有利な位置にいる。
・VisaとMastercard、両社ともB2B決済市場の次を見据え、ACH(小口決済手法の1つ)決済市場を狙っている。ACHは時間はかかるが手数料が安い決済手法。
・VisaはVisa Direct、MastercardはMastercard Sendを介し、ACH決済市場で事業を行っている。Mastercard Sendは自社のインフラを活用できるのに対し、Visa Directは銀行のインフラを利用するので、決済のたびに銀行の承認が必要。この処理は銀行にとって新たな業務となるので、この市場でVisaがMastercardより有利になるとは思えない。
・ただ、Mastercardと差はあるものの、長期的な視野で見て、Visaは利益率の高い投資先となる。直近の5年間ではVisaは毎年12%弱の売り上げの伸びを見せており、Mastercardよりうまくやっている。今後5年間、Mastercardが年16.77%の売り上げの伸びを期待されているのに対し、Visaも年16.45%と非常に期待されている。
<表1>
(出典:Morningster)
<表2>
(出典:Morningster)
<表3>
(出典:Mordor Intelligence)
この分析記事は私にはよかったです。VisaとMastercardのことを私は何も知らなかったので、非常に勉強になりました。
どちらも非常に売り上げを伸ばしている会社で、今後の成長も両社とも非常に期待できます。 その中で、どちらかというと、Mastercardの方がより期待できるということですね。株価の伸びに表れています。
ROIC(投下資本利益率)を比較するとすごいですね。Visaの平均20%というのも凄いのですが、Mastercardはさらに倍の40%です。この数字を見せられると、投資家はMastercardを優先しますね。
地域別の成長度合い(表3)も興味深いです。まだまだ、成長が期待できる地域はありますね。意外でしたが、オーストラリアも成長率が高いということは、現金の使用率が高いということでしょうか。
日本も成長率が見込める国と分類されています。確かに現金しか受け付けないところはまだまだあります。電子決済がどんどん浸透していってくれるとうれしいですね。ATMから現金を下ろす手間が省けますので。
VisaとMastercardの成長は将来も期待できますね。今回の分析記事を読んで追加投資したくなってきました。できれば、株価が調整して大きく下げた時に追加購入したいですね。
今回のような2社を比較する分析記事は私は好きです。その業界のことをより理解できるような気がします。今後、分析記事を探すときは、複数社を比較した記事を探すようにしたいです。
以上
◆参考文献
CNBC, "Visa Is No Mastercard, But That's OK"