8/26付の日経新聞の記事です。個人の株式売買代金が過去と比較し、大きく減っているよという内容です。
◆要約
・ 株式委託売買の手数料は、1999年10月に自由化がスタート。2018年度、個人売買の86%は大手7社のインターネット証券経由で行われている。同証券会社は東京市場のインフラとなった。
・ピーク時、株式売買代金(株式市場で売買が成立した金額)の3割超を個人売買が占めるも、2019年4~6月は17%。
・2019年4~6月の個人売買代金は51兆円。これは2012年10~12月(日経平均株価8,000円時代)の31兆円に次ぐ低水準。
・市場が縮小しているこの状況を、松井証券の社長は危機的と判断する。
・市場縮小の一因は、高速取引(HFC: High Frequency Traiding)業者。同業者の出現により、デイトレーダーの儲けの機会が減っている。また、日銀のETF購入による株価の下支えにより、ボラティリティの減少に。ボラティリティを活かした売買機会も減る。
・個人投資家の多くはデイトレーダーとみられていて、前述の背景が市場縮小、株式売買代金の大幅減少につながっている。このまま個人投資家が減っていき、海外からの投資の減少傾向が続くのであれば、東京市場から活力が失われる。
・個人売買のシェア86%を取っているインターネット証券会社が、個人売買でさらに成長していくことは難しい。
・暗号資産(仮想通貨)、資産形成ビジネスなど他事業を、次の稼ぎの柱として育てる選択肢もあるが、IT、フィンテック企業との競争あり。ネット証券会社が、従来型の証券会社へ攻勢をかけてきたように、今度はネット証券会社が他社から攻められる立場になる可能性も。
始めにこの記事を読んだときは、個人投資家の売買代金が大きく減っているのは意外だと感じました。NISAやiDeCoなどの優遇制度が登場しているにも関わらずです。
よくよくこの記事を読み返すと、内容は東京市場に限った話ですね。日本のネット証券を通じ、アメリカ株など外国株式を購入した人の売買代金はカウントされていません。
長期的に見ると右肩上がりのアメリカ株と、バブル期を頂点に今は低空飛行を続ける日本株という構図を考えると、個人投資家の売買代金がピークの半分に減っているというのは理にかなっています。
この記事を書いた記者の方ももちろんプロなので、背景は理解されているはず。その点に触れていないということは、スポンサーに配慮してでしょうか。
日本株への投資の魅力が減ってきた、ということくらいは書いてほしいですけど、やっぱり難しいかな(^ ^; この背景を(外国株に詳しくない)日本株投資家が知ったら、外国株へ資金を移すことを検討しますもんね。私がマスコミ業界で働いていたら、やっぱり言えません(><)
日本の株価は低迷している一方、企業は配当を増やしているようなので、高配当の銘柄がどんどん出てきていますね。私が株式投資を始めた18年6月頃と比較しても、えらい高配当です。
それでも日本株を買おうとはなかなか思えません。優良企業でも、市場に資金が入ってこないと、株価は上がってくれません。市場の評価は厳しいですね。私も世の中の流れに乗り、こつこつアメリカ株への投資を続けます(^ ^; 日本株さん、すいません。
以上
◆参考文献
日経新聞、「成人」ネット証券の危機感(一目均衡)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48996090W9A820C1DTA000/