インテルの分析記事を読みました。8/30付のSeeking Alphaからです。 内容は悲観的です。
◆要約
・1990年代の後半、インテルは大型のグロース株であったが、2000年以降は出遅れ感があり、ビジネスモデルの転換を迫られている。
・これまでの同社の株価最高値$75-76台を超える手段をインテルは持っているが、次の20年を見据え、今は長期間の技術の基礎となるものを作り続けている。
・インテルが事業を行う範囲は、製造業の中でも投資リスクが大きい。これはムーアの法則(半導体の集積率は18か月で2倍になるという同業界の経験則)によるライフサイクルが、その他製造業のサイクルよりも早いため。
・インテルの問題は、PC向け事業が売り上げの54%、営業利益の80%を占め(何れもFY19Q2決算数字)、そのPC市場の成長が見込めないことにある。背景はクラウドビジネスの登場。クラウドシステムを使えば、PCに求められる処理能力は1980年台に使用したデスクトップPC程度で良い。
・過去2年間、売上、収益の伸びは良かったが、2019年は成長が鈍化しており、2020年、2021年も同様の伸びになる可能性あり。
・Morningstarによると、次の5年間、PCやコンピューティングはマイナス成長、一方データセンターは速い成長を期待される。
・1990年台後半から、成長企業は(インテル内蔵の)PC、コンピューティングビジネスから、クラウド、自動化、その他の新興チップ分野に移っている。しかし、インテルの低価格で、ハイエンドなチップ製造工場はまだPCビジネスに根付いている。
・1990年代に成長していた多くの成長企業(インテル、オラクル、シスコシステムズ等)が持つ強みは、この現代には逆に弱みになっている。
・インテルは製造技術面でAMDに先を越されている部分もあり、次の数年間はAMDがシェアを拡大するとみられている。
・オラクル、シスコシステムズと同様に、インテルはAltera、Mobileyeなど、ニッチな事業を担う他社を買収している。
・40ドル台であれば、インテルの株は買い(9月9日の終値は$51.59)。
インテルが事業を行う業界は莫大な投資が必要ということは、私も聞いたことがあります。それでも、私の持つインテルのイメージはかなりの優良企業です。競合もAMDくらいしかなく、なんで株価はあんなに低いんだろうと思っていました。
この記事を読んで、株価の低さを初めて理解できました。需要が減少すると予測されているPC事業に依存しすぎていることに、投資家は難色を示しているんですね。確かに営業利益の8割を同事業に依存しているのは危険ですね。
PC需要がなくなることはないので、インテルの業界がなくなることはないと思いますが、市場は徐々に縮小していきそうですね。あと、クラウドサービスの普及が今後、どうPCの性能に影響してくるかですね。
PCがだめだったら、データセンター向けのサーバーにCPUを供給すればいいと、素人の私は思うのですが、そう簡単にはいかないんでしょうね。サーバー向けCPUでシェアNo.1はどこなんでしょう?また調べてみようと思います。
今回の記事を読んで改めて思いました。将来も今の利益水準を維持できるか?という視点でその企業を見ることは重要ですね。その企業のシェアが高いから、という理由だけでその銘柄に飛びつくのもダメなんですね。勉強になりました。
インテルは買いたい銘柄の1つでしたが、今は選択から外しました(^ ^; サーバー向けなど、PC以外の収益の柱を見つけてくれないと、株価はじり貧になりそうです。
以上
◆参考文献
Seeking Alpha, "The Laggards Part II - Intel's Achilles' Heel Hasn't Changed, But The Stock Is Undervalued In Low-To-Mid $40s"