10/3付の日経新聞を読みました。元ネタはFinancial Timesです。電子タバコの未来を悲観する記事かと思ったら、援護してくれるような内容でした。以下記事の要約です。
◆要約
・JUULは今までになかった新しい商品を提供している。同社が直面する危機は、市場に革命を起こす企業が失敗する最新の事例。
・アメリカでは電子タバコを放任していたが、全面禁止方針に転換へ。何れも良策ではない。
・アメリカでは、805件の肺の損傷事例が電子タバコユーザーから見つかる。何れも原因は不明。内、12件は死亡例。一方、アメリカでは48万人/年が喫煙に関する病気で死亡する。
・肺損傷事例の77%は、テトラヒドロカンナビノール(THC、大麻成分)を吸うために電子タバコを使用したことが要因(アメリカ疾病対策センター、CDC)。ニコチンのみ吸ったのは17%。
・7,000種類の化学成分がタバコの煙には含まれる。一方の電子タバコはごくわずか(蒸気が水ベースのため)。ニコチンにはある程度のリスクはあるが、(紙巻タバコから電子タバコへ変えることによる)喫煙の減少から得られる健康(メリット)の方が圧倒的に大きい(イギリスタバコ・アルコール研究センター)。
・ 電子タバコのニコチンによる健康リスクは、紙巻タバコの5%(イギリス王立内科医師会)。アメリカの紙巻タバコユーザーが電子タバコへ移行すれば、まだリスクは残るものの、年間の想定死者は2.4万に減る(48万人x0.05=2.4万人)。
・ヨーロッパでは、①電子タバコの販売を継続、②ニコチンリスクの説明、③禁煙する、もしくは電子タバコへの移行を促す、④規制された事業者からの電子タバコの購入、⑤電子タバコの広告、宣伝は禁止、⑥フレーバー禁止、⑦規制はアメリカより厳格な基準、以上の戦略をとる。
・アメリカ食品医薬品局(FDA)は方針を転換し、JUULが法を軽視したと主張。紙巻タバコより安全だという証拠を出すよう、同社へ要求。しかし、FDA自身が問題を見つけようとしなかったこと、広告、宣伝を禁止しなかったことは疑問。タバコから、
・アメリカが厳しく規制しすぎて、電子タバコの未来を経ち、紙巻きたばこの需要が復活してしまうことが懸念。アメリカの紙巻タバコユーザーは2017年に9%減少しており、良い変化はある。
健康を考え、紙巻タバコから電子タバコへの移行を促すというというのは私には新鮮でした。(ユーザー含め)タバコ関係者には常識のようです。
世の中で、このような(紙巻タバコから電子タバコへという)大きな流れがあるなら、市場がJUULへ期待するのは理解できます。
アメリカが(電子タバコはリスクが大きいという)メッセージを世界へ出さなければ、JUUL(Altria)がうまく立ち回れば、JUULはまた復活しそうですね。
10/4にAltriaの株価が上昇しましたが、この記事の影響があったのかもしれません。
Altriaに悲観的な報道が多い中、助けになる記事でした。
以上
◆参考文献
日経新聞、"[FT]ジュールと電子たばこの悲劇"
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50553080T01C19A0000000/