10/21付のCNBCの記事を読みました。自社株買いの減少をゴールドマン・サックスが指摘しています。以下、記事の要約です。
◆要約
・自社株買いへの支出が急落している。これは世界経済の成長に不確実性があるため。
・FY19Q1と比較し、FY19Q2の自社株買いへの支出は18%減。減少は続くとゴールドマンサックスは予想する。2019年は18年比17%減、2020年は19年比5%減と同社は見込む。
・現在、自社株買いはよく行われているが、昔からの動きではない。中には設備投資を優先するべきと主張する人もいる。The House Financial Service Committee(下院金融サービス委員会)は、自社株買いルールを変更することを検討している。
・2019年、S&P500企業の(自社株買い以外も含む)支出は前年比で6%ダウンの予想。これは2009年以来、最も下落幅が大きい。
・企業の支出が減っているので、リターン(yield)を求める投資家は高配当株へ投資することをゴールドマンサックスは推奨する。
・次の2年間、ゴールドマンサックスが推奨する各セクター毎の配当株は以下の通り:AT&T(T), Abbvie(ABBV), Macy's(M), Molson Coors Brewing(TAP), Valero Energy(VLO), Citizens Financial(CFG), Eaton(ETN), IBM(IBM), Eastman Chemical(EMN), Simon Property Group(SPG), Public Service Enterprise Group(PEG)
・ゴールドマンサックスによると、2021年、S&P500企業のリターンの中央値(median yield)は2.2%。一方、GS Rising Dividend Growth Fund(配当株に投資するゴールドマンサックスのファンド企業)が投資する企業の配当率の中央値(median dividend)は4%。
自社株買いに費やす金額が減少しているのは知りませんでした。景気がよくないから、という背景が気になります。
アメリカの株価だけみると景気が悪いとは感じません。ただ、ドイツや中国から発表される数値はどんどん悪くなり、今回の記事にあるように、自社株買いへの支出が減少しているというデータがあると、景気は確実に悪くなっているんだなと感じます。
記事の最後はゴールドマン・サックスの宣伝のようになっていますが、ここに上げられた銘柄情報は参考にしたいと思います。初めて聞く企業名もあります。
(売却しましたが)Abbvieは私も一度購入したことがあります。私が買った時は$100に近かったと思いますが、今の株価は$77.3、配当率は約5.6%です。配当率がとんでもないことになっていますね。
自社株買いが減っていくと、株価が上がりにくくなり、リターンも減ります。長期投資する個人投資家は、あまり株価の上昇は気にしなくてもよさそうですが、短・中期にリターンを期待するファンド、投資家は厳しいです。だから、高配当株を狙おうよという理屈ですね。ただ、高配当株も株価が下がれば、リターンは下がります。記事ではそれに言及していないので、宣伝ですね(^ ^;
2021年、S&P500企業のリターンの中央値が2.2%になるというゴールドマン・サックスの予測値が気になります。あまりに低い数値なので配当率のことかなと思ったのですが、原文中では2.2%をyieldと表現しているのに対し、後に出てくる4%をdividendとしているので、合ってそう。
私もS&P500企業のことを把握しているわけではないので、リターンの中央値が2.2%というのがどの程度低いのかはわかりません。ただ、S&P500 index(平均値)が6~7%ということを考えると、やっぱり中央値2.2%という数値は低いと思います。
低くくなるということは、企業の業績が悪くなる、景気が悪くなると見込んでいるということですね。それから、自社株買いは減っていく、つまり株価は比較的上がりにくくなっていくと。この2点は頭に入れておきたいと思います。
以上
◆参考文献
CNBC、"Goldman warns that buybacks are ‘plummeting,’ ending a big source of buying power for the market"
https://www.cnbc.com/2019/10/21/goldman-warns-buybacks-are-plummeting.html