11/1付の日経新聞の記事を読みました。証券会社が得る株式売買手数料の話です。アメリカでは手数料ゼロの証券会社が出てきています。記事は対する日本の状況を解説しています。以下要約です。
◆要約
・アメリカでは証券業界で手数料ゼロのトレンドあり。SBI証券は3年後の手数料ゼロ化が目標。
・日本は主要証券会社19社のうち17社が、2019年4~9月期の最終損益が減益、もしくは赤字の状態(下記表参照)。米中関係の悪化で個人投資家が取引を控えたことが要因。証券業界は固定費が高く、中小証券会社のように個人投資家への依存度が高いと、収益に大きく影響する。
・個人の株式売買代金は増加しているが、手数料の自由化後(99年度以降)、手数料収入は減少(下記グラフ参照)。
・ネット証券企業は手数料の安さで、従来の対面型証券企業からシェアを獲得。ただし、市場のパイは増えていない。
・手数料ゼロ時代に備え、各証券会社はその他収入源を模索中。①顧客の資産増加に繋がるコンサルティング営業(マネックスグループ)。②顧客のニーズに合った人員配置(野村ホールディングス)。③新規事業(不動産運用、ネット銀行等)の開拓(大和証券グループ)。④銀行、信託銀行との共同店舗運営(メガバンク傘下の証券会社)。⑤ビッグデータを活用した新規証券事業(カブドットコム証券)。
・信用取引の際の金利は日本の2~3%に対し、アメリカは8%と環境に差あり。また、アメリカではIFA(Independent Financial Advisor)が27兆ドルの顧客資産を保有。証券会社や運用会社はIFAに対し、商品やサービスを提供、これらの収益が手数料の代替になろうとしている。
・現段階で、日本の証券会社で手数料ゼロ計画を宣言しているのはSBI証券のみ。
<表>主要証券会社の19年4~9月期業績
(出典:日経新聞)
<グラフ>個人の売買代金と証券会社の手数料収入
記事に出てきたIFA(Independent Financial Advisor)という存在がよくわからなかったので、調べました。IFAはAdvisorという文字が入っているようにアドバイザーです。証券会社、運用会社からは独立しているので、顧客のことを考えてアドバイスしますよ、どこから何を買うか最後は顧客自身で決めてね、という存在らしいです。
こういうのがビジネスになっているんですね。証券会社や運用会社はこのIFAからも収益を得ているとのこと。証券会社に支払う売買手数料がゼロになると、IFAサービスを利用していない顧客からみれば、手数料が浮くので助かります。
日本もこのトレンドを受け入れる方向で、SBI証券は3年後の手数料ゼロを目指すことを宣言しています。私は長期投資で、かつ一度の購入は今は約50万円なので、売買頻度はかなり低いです。そのため、売買手数料がゼロになっても正直ほとんど影響はありません。
証券会社からみると厳しそうです。記事にあったように、個人投資家からの売買手数料収入に依存している会社はきついでしょうね。合併でもしないと生き残れないような気がします。
日本の各証券会社もいろいろ検討していますが、アメリカの企業がやっているように、アドバイスを求める顧客から収益を得るパターンが一番多くなるのかな。
となると、騙される人がやっぱり出てきそうです。自分で考えたくない、でも少しでも儲けたいという人がいますからね。行政には注意喚起を促して頂きたいです。
以上
◆参考文献
1)日経新聞、"迫る手数料ゼロ、証券会社に試練 自由化から20年"
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51646330R31C19A0EE9000/
2)SBI証券、資産運用アドバイザー(IFA)
https://go.sbisec.co.jp/prd/ifa/about/
3)ブルームバーグ、"米ネット証券各社の株価急落、シュワブ手数料撤廃で競争激化へ"
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-01/PYP6VO6JIJUQ01