12/4のCNBCの記事を読みました。不動産情報検索サイトのRealtor.com(アメリカ)のデータベースを基に、 来年のアメリカ住宅市場の見通しを語っています。以下、記事の要約です。
◆要約
・2020年、アメリカの中古住宅の売上は2019年と比較し、1.8%下落する見込み。住宅の供給不足はアメリカの歴史上、最も悪いものになる可能性あり。
・全国的に住宅価格は0.8%上昇するだけで、ほとんど変わらない。ただ、25ほどの(シカゴ、ダラス、ラスベガス、マイアミ、セントルイス、デトロイト、サンフランシスコなどの)大都市では下がる見込み。
・現在の好調な経済、旺盛な住宅需要からすると、この見込みは正反対のようにみえる。しかし、住宅市場の動きはその他と異なる。不動産の根本は、継続的な需要、限られた供給、規律のある財政状態の査定がそれぞれ絡み合っている。
・全ては供給。ここ数年間、住宅の在庫は減少し続けており、今は最も少ない状況にある。歴史的な住宅市場の崩壊後(リーマンショック後)、住宅建設業者が回復しきれていないことも要因の1つ。
・過去の世代と比較し、ミレニアル世代は結婚、出産、住宅購入、全てが遅くなる。そのため、ただでさえ住宅価格が高くなっている中、初めて購入する住宅はより高いものになる傾向にある(Realtor.com)。
・現状、住宅の供給側はこの需要に応えきれていない(アメリカの金融サービス会社Raymond James)
・標準的なアメリカの住宅購入者は、購入費用完済まで支払い開始から13年を要する(2010年時は8年だった)。これは、購入した住宅に高齢になるまで住み続けることを選ぶようになってきたことを意味する。過去、アメリカ人は安価な住宅を初めに買い、その後、より大きい高価な住宅に移り住んでいた。
・リーマンショック後、差し押さえられたエントリーレベルの住宅を投資家が購入、賃貸住宅として運用した。住宅価格が上がれば、投資家は売却しようと計画していたが、それは起こらなかった。賃貸住宅の需要が旺盛で、売却しないことを選択したため。一方、新築住宅の供給は遅れたまま。
中古住宅の供給不足で2020年の同住宅の売上が下がるという話でした。アメリカ人の住宅の売却頻度が減ってきたから、次に移り住む新築の家も減ってきた(供給が追い付いていない)から、中古住宅の供給も減っているということを記事は言いたいようです。
この点を記事の中で説明していないので、読み手が論理を組み立てないといけない、少々わかりにくい記事でした。私の読解力が低いだけかもしれませんが(^ ^;
ただ、今回の記事は読んでよかったと思います。アメリカ人の習慣が変わってきたことを教えてくれました。
ちょっと話が横に逸れますが、アメリカでは住宅を売却する時、価格が上がる傾向があります。長く住めば、その分価格も上がります。長く住んだ=それだけその地域の治安が良いというアメリカ人の考えがあります。日本に住む我々からすると、信じがたいですが。
ただ、必ずしも住宅価格が上がるというわけではありません。みんなの思いとは逆に価格が下がり起きた大混乱がリーマンショックです。
記事の話に戻ります。気になったのは、住宅の購入頻度が少なくなると、Home DepotやLowe'sの出番が減らないかということです。住宅購入後、個人は住宅をアップグレードしたり、修理したりするときに、Home Depotのお世話になります。個人だけでなく、Home Depotは住宅建設業者にも商品を供給します。
もちろん、購入した家に長く住み続けると、その分修理する必要があるので、Home Depot、Lowe'sの需要が出てきます。ですので、もしかしたら需要はそんなに変わらないかもしれません。でも、新築住宅の戸数が減ると、やっぱりトータルで需要は減るんじゃないの?と思ったりもします。
まあ、すぐに両社の業績に出てくることではないと思いますので、長い目で見ていきます。
以上
◆参考文献
CNBC, "Next year will be hard on the housing market, especially in these big cities"