1/6付の日経新聞の記事を読みました。同誌が元FRB議長であるアラン・グリーンスパン氏にインタビューした内容です。
FRB議長はグリーンスパン氏→バーナンキ氏→イエレン氏→パウエル氏と受け継がれています。こうみると、グリーンスパン氏がFRB議長を担当されていたのは結構前なんですね。在任期間は1987年8月11日~2006年1月31日とかなり長いです。
そのグリーンスパン氏が株式市場・経済の動向、仕組みについて解説されています。日経新聞単独のインタビューでもあり、日本についても触れています。以下、記事の要約です。
◆要約
・民間の非金融企業のキャッシュフローに対する資本支出の割合が、景気循環の転換点を把握するのに重要。現在は純貸付の状況。短期的には経済は堅調に推移すると予想する。過去50年のデータによると、純貸し付けで景気後退に陥ったことはない。
・純貸し出しの状態になると、景気後退に陥る。
・チャートから判断すると、株価の上昇はピークに近づいているようにみえる。貿易戦争が継続している中、株価上昇の継続は考えにくい。いつ下がり始めるかはわからない。
・景気後退~停滞が低金利に繋がる。金融政策の効果は徐々に低くなっている。グリーンスパン氏がFRB議長だった時代も、金融政策が効かなかった時代が長く続いた。
・マイナス金利の要因の1つは人口の高齢化。人々は数十年後の価値を考えるようになり、長期債の需要が増加、利回りが低下している。結果、長期金利も低下。これは構造的なもの。
・統計データによるとアメリカの生産性は低下。人口高齢化が1番の要因。過去、人々は死ぬまで働くという考え方であったが、第2次世界大戦後、社会保障制度が作られ、同制度を支えるため、民間(企業、個人的)から資金を徴収するようになった。
・社会保障制度に必要な資金は本来、設備向けだった。同制度向け支出が増え、貯蓄と投資の減少に繋がっていることがデータで証明されている。つまり、高齢化が進むと、経済力も落ちる。
・米中貿易戦争は両国とも敗者になる。関税は最終的に民間投資を減らす。両国のGDPは世界の4割を占めるため、世界経済は両国への依存度が大きい。
・アメリカの所得格差はさらに拡大する。同国の1番の成長産業はハイテク分野で、それを支えるために優秀な頭脳、手厚い報酬が必要。これが所得格差の要因。アメリカはさらに知識社会へ向かう。
・日本はすでに人口減の段階。社会保障制度が成長の足かせになるという状況を、アメリカに先駆けて経験している。日本は世界No.1の高齢化社会。その他の国も日本のあとを追う状況にあり、日本のデータは興味深い。
色んなテーマについて語ってくれるインタビュー記事でした。論理的な説明なので、わかりやすかったです。
アメリカは日本と比較し、社会保障制度がいまいちです。国に頼らず、個人でなんとかしてねという国です。各自、保険会社と契約するなどして、リスクを回避する仕組みなので、日本とはずいぶん異なります。
記事によると、社会保障制度を充実させると、投資へ向かう資金が減るとのこと。アメリカはなぜ社会保障制度がこんなに貧弱なのかなと思っていましたが、充実させるためにはお金が必要で、何かを諦めないといけませんもんね。うまく回っているのであれば、現状維持でもよさそうです。
私がこの記事の中で一番関心を持ったのが、アメリカの主要産業はハイテクセクターという言葉です。今後もますます発展するとのこと。
ハイテクが主要産業と言われれば当然なのですが、主要で今後も発展が予想されているところにもっと投資した方がよいのではと感じました。
今私のポートフォリオの中でハイテク株と言えるのはAppleくらいでしょうか。ちょっと少ないですね。MastercardとVisaはちょっと違うかな?今後、ハイテク銘柄の比率を上げていこうかなと思います。
以上
◆参考文献
日経新聞、"「株価はピークに達しつつある」グリーンスパン氏一問一答"
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54001480R31C19A2FF3000/