SBI証券のサイトで提供されているバロンズダイジェストの記事を読みました。1/26号のものです。アメリカの大手広告代理店に関する内容です。以下、記事の要約です。
◆要約
・(アメリカで年間の最高視聴率を出すくらい人気のある)スーパーボール内でのCM料金は30秒で560万ドル。十数年前と比較し2倍。広告費用は上昇しているが、大手広告代理店の株価はさえない。
・オムニコムグループ(OMC、アメリカ)、インターパブリックグループ(IPG、アメリカ)、ピュブリシス(PUB、フランス)、WPPグループ(WPP、イギリス)が世界の大手広告代理店。
・上記4社の株価は昨年、過去3年間、共にS&P500指数を下回る。
・広告が従来の使われ方からフェイスブック、グーグルなど、インターネット上のプラットフォームへ移行。テクノロジー企業が新たに競合となっている。
・この構造変化に伴い、企業は自社内で広告担当人員を抱えるように。自社内に広告部門を持つ企業が08年の42%から18年には64%へ増加(コンサルティング企業フォレスター)。
・企業内の広告担当人員はクリエイティブ担当(どんな広告にするかを一から考え、創り出す人)。配信や追跡、データ分析はテクノロジー企業に任せる。
・広告業界の構造変化は従来の広告代理店に影響を及ぼしているが、各代理店は適応中。OMC、IPGはシェアを拡大(投資調査会社Evercore ISI)。
・OMC、IPGの2020年の予想PERは12倍。利益は増加見込みも、市場予想は下方修正。
・PUBは直近4回の四半期決算発表後、3回で株価下落。その内2回は14%を超える下落。WPPのCEOは2018に突然辞任。資金の不正使用疑惑の渦中であったため、市場は動揺。両社の今後の見通しはOMC、IPGと比較し、さらに悪い。
・ここで上げた大手広告4社は買収される可能性も。クリエイティブ能力を求めるテクノロジー企業が欲しがるのでは(Evercore ISI)。
・また、ユーザーがテレビ番組から、有料の動画コンテンツに流れていることも大手広告代理店にとって懸案材料。(アメリカの3大放送事業者の1つである)NBCは同社独自の動画ストリーミングプラットフォームで、1時間に5分のみCMを流すことを決定。
・広告代理店の食い扶持は減っていくばかり。同代理店が業績を伸ばせる方法を見つけるまで、株購入は避けた方が良い。
テクノロジー企業が大手広告代理店の競合になっていること、及び(CMが少ない)有料動画ストリーミングプラットフォームにユーザーが移行していることが、広告代理店の業績低迷(株価低迷)に繋がっているという話でした。
ウェブサイトを見ていると、広告はほぼ出てきます。あれは必ずしも、広告代理店が絡んでいるわけではないんですね。この記事によると、グーグルやフェイスブックは代理店抜きで自社だけで広告費を集めているようです。
私は広告企業に少し関心があり、オムニコムグループは株式購入も考えたことがありました。ただ、記事が指摘するように、株価はS&P500指数を下回って推移しています。
大手広告代理店なのに、なぜ株価は低迷しているのだろうと思っていたのですが、このような背景があったのですね。広告業界も構造が変わりつつあり、代理店も生き残りが大変そうです。
広告企業の株を買わなくてよかったです(^ ^; 長期保有するには同企業の将来に自信がありません。同じ買うならグーグルやフェイスブックの方を選びたいと思います。
以上
◆参考文献
1)SBI証券、バロンズダイジェスト、20年1月26日号、"スーパーボールは広告代理店の晴れ舞台、大手広告代理店の株を買うべきか"
https://global.sbisec.co.jp/Fpts/tsj/usAnaReport/toReportPdf
2)ウィキペディア、"スーパーボール"