2/10付のCNBCの記事を読みました。過去のSARS発生時、中国経済がどのように動いたかをデータを用いて解説しています。以下、記事の要約です。
◆要約
・約20年前、発生したSARSは中国の経済成長を下押し。2003年Q1、前年比+11.1%のGDPが、その後3か月間は+9.1%まで低下(下記グラフ1参照)。
<グラフ1>SARS発生時の中国の前年比GDP成長率推移(縦軸の単位は%)
(出典:National Bureau of Statistics of China、WHO)
・次の四半期(2003年Q2) には上昇へ転じ、2003年の成長率は+10%となった。ただ、SARSがなければ、成長率は0.5~1%上積みできたと見積もられている。
・今回は、中国の2020年GDP成長率を0.2~0.7%下押しし、最終的には同年の成長率は5%程度になるだろう(複数の銀行、及び調査機関)。
・中国の小売り売上高成長率は2003年5月に4.3%まで低下し、過去最低の数値となった(下記グラフ2参照)。
<グラフ2>SARS発生時の中国の前年比小売売上高成長率推移(縦軸の単位は%)
(出典:National Bureau of Statistics of China、Refinitive)
・今回も小売りは被害を被るが、(新型コロナウイルス終息後)当時と同様に大きく上昇に転じると見込まれている。これは活動を制限していた(消費を控えていた)分が動き出すため(複数のエコノミスト)。
・工業生産は2003年5月に下落のピークを迎える(下記グラフ3参照)。
<グラフ3>SARS発生時の中国の前年比工業生産成長率推移(縦軸の単位は%)
(出典:National Bureau of Statistics of China、Refinitive)
・今回の新型コロナウイルスは工業生産成長率に、より悪影響を与える可能性あり。同病気の拡散を防ぐため、行政側が急いで複数の都市を隔離することを決定したため(複数のアナリスト)。
・SARS発生時、中国の輸出入成長率は穏やかになる。1年を通してみると安定した成長率であった。
<グラフ4>SARS発生時の中国の前年比輸出入成長率推移(縦軸の単位は%)
・当時、世界経済は2001年~2002年の不況から立ち直ろうとしていたタイミング。これが2003年の中国輸出量増加に貢献した(オーストラリアのマッコーリー銀行)。
・今回は当時と異なり、中国の輸入、輸出は打撃を受けるだろう。供給が停止し、中国の物流網が崩壊しているため(S&P Global Ratings)。
上のグラフによると、SARS発生時はGDP成長率、小売売上高成長率、工業生産成長率、何れも同じ時期(SARS発生から半年後)に下落のピークを迎えています。
当時、市場の平均株価はSARS発生から5か月後に下落のピークを迎えているので、前述の各成長率よりも1か月早く復活し始めています。中国経済復活のめどがついたので、株に資金が戻り始めたのかもしれません。
このデータを見ると、低い成長率がずっと続くということではないんですね。下落のピークを迎えた後、すぐに復活しています。今回も被害の拡大が止まりそうな兆候が出てくれば、同じような動きをしてくれそうです。
ただ、工業生産成長率と輸出入成長率だけは、当時と条件が異なる点があるので、悪化すると専門家はみています。
まあそれでも経済に関しては過度に心配する必要はなさそうかなと、今回の記事を読んで個人的には思いました。SARS発生時よりは中国は迅速に動いているようですし。
次はいつ投資しますかね。SARS発生時は発生から5か月後に下落のピークを迎えましたが、今回は同じような期待をするのはもう諦めました。NYダウ平均は29,000ドル台をキープしたままと高いです。手持ちの現金もそこまで余裕があるわけでもないので、もう少し様子見ですかね。大きく下げる株がないか、気になる銘柄の株価動向は追い続けたいです。
以上
◆参考文献
CNBC、”4 charts show how SARS hit China’s economy nearly 20 years ago”