2/13付の日経新聞の記事を読みました。株主還元のために、債務超過に陥るアメリカ企業がいるということを解説する記事です。以下要約です。
◆要約
・2019年のアメリカ企業の債務超過額は650億ドルと、金融危機が発生した2008年以来の高水準。債務超過となっている有名企業も(下記用参照)。
(出典:日経新聞)
・低金利で資金を調達、それを(資本減少に繋がる)自社株買い、配当金支払いに回していることが背景にある。
・2019年はS&P500企業の内、24社が債務超過になる見込み。これは2008年を上回る数値(下記グラフ参照)。
(出典:Quick・ファクトセット)
・19年12月期、ボーイングは6億ドルの赤字。ここに配当(46億ドル)、自社株買い(26億ドル)が加わり、最終的には83億ドルの債務超過。債務超過は08年以来で、当時の6倍を超える超過。将来、極端に状況が変わらない限り、同社は配当を続ける意向。
・スターバックスは19年9月期に初の債務超過。マクドナルドは債務超過額が3割以上増え、82億ドルに。19年12月期の数値。両社とも自社株買い+配当金>純利益という状況。
・アメリカ企業は財務状況の改善よりも、株主還元が優先。また、株価上昇に伴い、経営陣に対する報酬も上昇する仕組みが浸透している。
・日本とは異なり、債務超過=経営不安というわけではない。フリーキャッシュフロー(収益ー投資額)のプラス状態が続くなら、懸念は少ないとアメリカでは判断される。実際、マクドナルドに対する投資格付けはトリプルB。
・エクソンモービルも株主還元>純利益、IBMは株主還元≒純利益という状態。両社は債務超過ではない。
・2019年末時点で(金融を除く)S&P500企業の負債は5兆330億ドル。前年比+6130億ドルで過去最大の上げ幅。
・急な金利上昇はリスク。IMFやFRBは過去最大の債務を注視している。
アメリカの企業は、債務超過になってでも株主還元を優先しているとは知りませんでした。私は債務超過=要注意企業という認識だったので、考え方を改めます。
これができるのは潤沢な現金が将来も安定して入ってくることがわかっている企業しかできませんね。
ただ、理屈はわかっても、いくら株主優先でもそこまでするかと、個人的には思います(^ ^; そこまでしないと経営陣として失格と判断される世界なんでしょうね。株主にとってはうれしい限りですが。
今回はまた1つ勉強になりました。安定した現金収入は大事ですね。今後、企業の財務情報を見る時には注目してみたいと思います。
以上
◆参考文献
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO55612200U0A210C2EA2000/