SBI証券のウェブサイトで公開されているバロンズ・ダイジェスト内の記事を読みました。3/3号のものです。新型コロナウイルスが世界規模の流行病に発展した場合、アメリカのヘルスケア業界にどのように影響するかを分野別に解説しています。以下、記事の要約です。
◆要約
・医薬品メーカーのギリアドサイエンシズ(GILD)、モデルナ(MRNA)は新型コロナウイルスの治療薬(病気やけがを治すための薬)、ワクチン(病原体を基に開発したその病原体に対する抗体)を開発中。
・仮にこのワクチンが有効であったとしても、有効なビジネスモデルはまだない。そのため、ここまで製薬会社は本課題にリソースを多く割いていない。
・期待と不安が入り混じっており、両社株価のボラティリティは高い。
・当社は公衆衛生に注力。商品化は二の次(モデルナ)。ギリアドも同じく商品化の意思なし。
・例え、商業化に至らなくてもワクチン開発に成功すれば、その企業の製造能力を世の中に示せる(チャーダン、アメリカの投資銀行)。
>製薬会社
・医薬品の原料の多くは中国の工場で生産される。新型コロナウイルスの影響が長引けば、原料生産も長く影響を受け、医薬品の供給に影響が出てくる(アメリカ医療薬剤師協会)。
・医薬品の有効成分(API)の調達先は非開示。製薬会社サノフィ(SNY)によると、APIの6割が中国製。同社は複数のAPI工場を所有する。
・2/27の時点で、新型コロナウイルス要因でアメリカで医薬品不足が生じたと、FDA(アメリカ食品医薬局)が発表している。
・2020Q2~Q3、ジェネリック医薬品が不足する可能性あり(バーンステイン、アメリカの投資調査会社)。
・API製造を中国に大きく依存していることがそもそもの問題。国家安全保障上、経済上の懸念事項(米中経済安全保障検討委員会)。
・今後、新型コロナウイルスの影響が数か月間続かなければ、当社のサプライチェーンに問題なし(メルク、MRK)。一方、同業のマイラン(MYL)は同社サプライチェーンの影響で、業績に影響が出る可能性があると発表。
>健康保険会社
・アメリカで何万人規模に新型コロナウイルスが影響しない限り、当業界は大した影響を受けない。実際、今期流行しているインフルエンザから保険会社が受けた影響はわずか(ジェフリーズ、アメリカの投資銀行)。
>病院
・病院を保有する企業はかなり不透明。需要は増加するも、運営はかなりの混乱が想定される。
・インフルエンザ、SARSの大流行時、当院の治療の種類は減少しなかった。今回はどうなるかわからない(ユニバーサルヘルスサービス、UHS)。
この記事のおかげでヘルスケア業界のことを少し学ぶことができました。
治療薬とワクチンが別物というのも初めて知りました(^^;
病気に有効な治療薬、ワクチンを生み出しても、必ずしも事業化に繋がるわけではないというのも、私には新鮮でした。医薬品メーカーは薬を研究、開発するのと同時に、ビジネスモデルも創り出す必要があるんですね。
逆に疑問点も。製薬会社は有効成分の調達を中国に依存しているが、バイオテクノロジー企業は対象外のようです。両社が製造する医薬品はそもそも原料が違うんでしょうか?まだまだ私の知らないことばかりです。
メルク株は私も保有しています。大きく値が下がったら投資のチャンスですが、私はメルクのことをよく理解していないので、先に同社、同業界のことを勉強する必要があります(^^;
今回の記事はどの分野も良い話はほとんどないですね。新型コロナウイルスの悪影響をどの程度受けるか、という内容になっています。
1月に新型コロナウイルスの発生がニュースになった時、私はヘルスケア業界の株が大きく上がるのかなと思っていたのですが、そうでもありませんでした。今回の記事を読んで納得です。勉強になりました。
以上
◆参考文献
SBI証券、バロンズ・ダイジェスト、3/3号、新型ウイルスのヘルスケア業界への影響
https://global.sbisec.co.jp/Fpts/tsj/invInfTop/toUsAnaReport