20年1月7日付のSeeking Alphaの記事を読みました。メルクの分析記事です。同社株の購入を推奨する記事です。以下要約です。
◆要約
・メルクはスーパースワン。とても安全な配当株として頼れる。35年減配なし、配当性向は50%近い、リターンは市場平均越え(下記グラフ1参照)。
<グラフ1>メルク(Portfolio 1)とS&P500 indexのリターン推移
(出典:Portfolio Visualizer)
・メルクのワイドモートなビジネスモデルは現金が豊富な事。優良と判断される企業のFCFマージンは5%。メルクはその4~5倍高い。利益率も市場平均を超える(下記表1参照)。 バランスシートも強固で、S&Pの格付けはAA。
<表1>財務指標、業界標準との比較
(出典:Gurufocus)
・製薬会社の中で、メルクは1番の成長への滑走路を持つ企業の1つ。
・2019Q3、メルクの売上成長率は前年比+16%、EPS成長率は前年比+22%。巨大なブロックバスターであるキイトルーダ(抗がん剤)が大きく寄与。1/8、FDA(アメリカ食品医薬品局)がキイトルーダを膀胱がん向けに承認している。
・下記図1にあるように、メルクは同社のパイプライン(研究中の医薬品候補)の中に36のプログラムを持ち、この内フェイズ3(臨床試験の最終段階)に15を超えるキイトルーダ関連のものがある。
<図1>メルクのパイプライン
(出典:メルク)
・腫瘍学は最も大きい成長要素。人口が高齢化すれば、がん発生率は高まる。
・2024年には、キイトルーダは$17Bを生むと期待されている。これは世界のがん治療薬売上の7%を占める見込み(EvaluatePharma、イギリスの製薬企業向けデータ会社)。
・下記図2は、メルクが保有する成長事業。何れも毎年2桁成長。
<図2>メルク社内の成長事業
(出典:メルク)
・メルクは140か国で事業を展開。中国、ラテンアメリカ、アフリカなどの新興国へも参入。先進国でのブロックバスター需要が多くの現金を生み出す(下記図3参照)。
<図3>世界各国での2019Q1の前年比成長率
(出典:メルク)
・ここ数年で中国でのメルクの売上は40%増。同期間で、同社は中国市場で最も成長した企業となっている。
・次の3年間、メルクの成長率は下がるとアナリストは予想(下記表2参照)。パテント切れによるジェネリック医薬品との競争が激化するため。メルクのような製薬会社に依存しすぎるのは危険で、業績動向を注視するのが大切。
<表2>メルクの成長予想
(出典:F.A.S.T Graphs, FactSet Research)
・過去20年間のメルクの年間成長率は2~9%、今後、長期的な観点では成長率は6~11%と見込まれている。今年、メルクの業績見込みから判断すると、同社株は$89の価値がある。
・将来の成長率には不確実性がある。長期投資家には同社のリスクを考慮することが重要。
・メルクのリスクは、医薬品承認、長期的な医療規制の不確実性、パテント切れ、訴訟可能性、キイトルーダへの依存、M&A(買う側のリスク)、政治がある。
メルクの事業内容はまだよくわかりませんが、パイプライン(研究中の医薬品候補)や製薬会社特有のリスクは参考になりました。
優良株は買ってあとは長期保有すればいいと思っていたのですが、製薬会社の株はちょっと違うようです。長期的な観点では多くの不確実性があるので、業績、環境の動向には注意が必要とのこと。
気を抜くところでした。この記事を読んでよかったです。多くの記事を読んでいると色んな発見があってためになります。今後も継続して読んでいこうと思います。
今後、製薬会社の株を購入するなら、メルク以外の製薬会社にも手を出そうかなと思います。リスク分散です。記事に挙げられているリスクを考えると、1社に依存するのはちょっとこわいです。
バイオ医薬品というカテゴリもありますので、次はバイオ医薬品会社の分析記事を読んでみようかなと思います。
以上
◆参考文献
Seeking Alpha、"3 Things Merck Investors Need To Know In 2020"
https://seekingalpha.com/article/4317418-3-things-merck-investors-need-to-know-in-2020