5/14付のBloombergの記事を読みました。新型コロナウイルス終息後、アメリカの生活がどう変わるか解説しています。以下要約です。
◆要約
・新型コロナウイルス終息後の世界、ニューノーマル(新たな正常状態)に備えるべき。金融危機後の世界もニューノーマルと呼ばれたが、コロナ後はより厳しいものになる。
・新型コロナウイルス後、経済は一時的に急回復するも、すぐにペースダウンする。
・金融危機と比較しても、インフレ率はかなり低くなり、失業率も高くなる。政府が保有する債券、FRBのバランスシートは相当大きくなる。金利も低いまま。
・人々が保険(貯え)を持つ経済になりそう。保険を持つことで、需要は減り、生産性も落ちる。企業はコスト削減よりも、サプライチェーンの見直し、アメリカへの生産回帰を優先することで、効率は下がり、グローバル化から後戻りする。
・戦略物質の国内生産を増やすため、政府の経済への影響度が高まる。
・FRBによる市場への資金投入により、株価は上昇。投資家は恩恵を受ける。一方、低賃金労働者は失業手当を受けるのに苦労している。所得の格差は新型コロナウイルス前後で変わらない、もしくは広がる。
・景気回復のペースが遅くなるほど、リスクも高まる。回復に時間がかかるほど、企業の事業縮小、倒産規模が大きくなり、また失業率も高止まりする。
アメリカ人はあまり貯金をせず、お金を消費に回すイメージがあります。記事が主張するように、アメリカ人が貯蓄を増やすことになるなら、結構大きな習慣の変化になります。需要も減り、企業の業績にも影響を与えることになります。
ウイルスの特効薬が生まれるまでは、貯蓄を増やすということは結構現実的になりそうです。人々は不安だと思いますので。
企業のサプライチェーン見直しは時間はかかりますが、確実に起こりそうです。今回の新型コロナウイルス起因によるシャットダウンで、グローバル化の欠点を世界は目の当たりにしました。
戦略物質の国内生産は進むでしょう。戦略物質以外の生産場所も見直しされそうです。
ただ、中国と距離を置くというのは難しそうです。アメリカにとって、同国は重要な顧客でもありますから。この辺りはアメリカ政府がうまく立ち回ってくれることを願います。
記事で書いてあることが実現すると、企業の利益は減るかもしれません。この点は心配です。また、世の中が大きく変わると、活躍する企業の顔ぶれも変わってくるかもしれません 。しばらくは世の中の動向から目が離せなさそうです。
以上
◆参考文献
Bloomberg、"新型コロナ後の米経済のニューノーマル、悲惨で危険に満ちたものに"
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-14/QAASKIDWX2PV01