4/29付のCNBCの記事を読みました。ソフトウェアビジネスは危機に強いと思われていますが、今日は異なるのではと記事は主張しています。以下要約です。
◆要約
・2008~2009年の金融危機時、経済の悪化に伴う悪影響はハードウェアよりもソフトウェアの方が少なかった。今日は異なる可能性が高い。
・新型コロナウイルスによる景気後退の最中、ソフトウェア企業が影響を受けないか、これから試される。
・ユーザー企業はソフトウェアの契約を解約しないかもしれないが、ソフトウェア企業は売上を減らす可能性あり。従業員削減で1企業当たりの契約者数が減り、またユーザー企業はサポートサービス費用への支出を削減する可能性があるため(Atreides Management、アメリカの投資管理会社)。
・ソフトウェア企業の課題のトップは、(高額な金額を前払いする)パッケージソフトウェアから(前払い金は少なく、毎月利用料を徴収する)SaaS(クラウドで提供されるソフトウェア)へビジネスモデルが変化していること。
・ソフトウェアのクラウドコンピューティングサービスへの統合は、マイクロソフト、アマゾンが1兆ドル企業へ成長するのを助けた。3月後半に平均株価が底をついて以来、投資家は前述の2社、及びアップル、アルファベット、フェイスブックへの賭けを再開。
・現在、クラウド企業の成長加速が見込まれる。これはオラクル、SAPなどパッケージソフトウェアメーカーにとっては悪いニュース。
・4/27の週、オラクルは2020年の損失を全て取り戻し、勝利を宣言。Zoomがマイクロソフト、アマゾンではなく、オラクルを選んだため。しかし、収益はマイクロソフト、アマゾンがオラクルを上回っている。また、SAPの株価は今年に入り、下落(下記グラフ参照)。
<グラフ>年初来、及びここ1年間の株価上昇率
(出典:CNBC、4/28時点)
・今日、ソフトウェアは企業ITの50%を占めており、金融危機時よりもソフトウェア企業への景気後退の影響は大きい。
・不況時、企業はイノベーション、成長よりも、コスト、最適化にフォーカスする(フォレスターリサーチ、テクノロジーコンサルティングファーム)。
・マイクロソフト、アマゾンのようなクラウドの巨人、パッケージソフトのリーダーであるオラクル、SAP、SaaS企業であるセールスフォースに対する見通しは影響を受けるだろう。
金融危機時よりも、世界経済に占めるソフトウェア比率が高いため、また(パッケージソフトウェアとは違い)サブスクリプションモデルはユーザーにとってコスト削減しやすいため、現在の景気後退下で、ソフトウェア企業の業績は悪影響を受けるだろうと記事は主張しています。
サブスクリプションモデルはコストを削減しやすいというのは言われてみればそうですね。従業員を解雇すれば、さらにライセンスが不要になります。従業員を解雇しやすいアメリカだと、効果は大きそうです。
このような視点で今のソフトウェアビジネスを考えたことがありませんでした。この業界は景気循環の影響を結構受けやすいのかもしれません。これから景気低迷が続くと言われているので、記事で挙げられている企業のサブスクリプションビジネスからの収益動向は気になります。今後注目したいと思います。
以上
◆参考文献
CNBC、"Software thinks its revenue is crisis-proof. This time may be different"