6/2付のReutersの記事を読みました。3月後半以降、実態経済とはかけ離れた株価上昇が続いています。過去のパターンとは異なるので、戸惑っている機関投資家の意見が記事になっています。以下要約です。
◆要約
・S&P500指数は、3月後半から6/1にかけ37%上昇。ナスダック指数も過去最高値に近い。
・投資家は現在の株価の動きに戸惑う。FRBやアメリカ議会が株式市場を支援、実経済と乖離しているのではと懸念している。
・現在のPERは21.2倍。これは2002年以降で最も大きな数値。また、5月の非農業部門の雇用者数は、前月比745万人と予想される。ミネソタ州が発端となった抗議活動は今も継続、拡大傾向。しかし、何れも株価への影響は少ない。
・今の株式市場はこれまでと異なる。適正基準を決めるのは難しい(ドイツ銀行)。
・過去約90年のデータをみると、景気後退開始後、S&P500指数は30%程度下落。その後さらに半年弱経過後、底を打つ(バンクオブアメリカグローバルリサーチ)。
・今回も同じパターンをたどるなら、6/1の終値から28%下落することになる。
・景気後退期間が長くなれば、弱気相場も長くなる(バンクオブアメリカグローバルリサーチ)。今のところ、景気回復の材料が少ないため、現在の株高は懸念される。
・今の株高と実態経済の乖離が大きいと考えている投資家が多いほど、株価調整時の下落幅が大きくなる可能性も高い(バンクオブアメリカメリルリンチ)。
・過去150年の弱気相場データによると、S&P500指数が30%以上下落後、3か月間の上昇率は平均11%。下落後の反発期間が2年になると、上昇率は40%程度。これは今回の3月後半~6/1間の上昇率と同じ(ソシエテジェネラル、フランスの銀行)。
・一方、歴史とは異なる意見を持つ専門家も多い。ロイターが専門家に対し実施したアンケート結果によると、20年末時点のS&P500指数は2950と現在より少し低い数値。これは中央銀行、政府による無制限の景気刺激策への期待がある。
・S&P500指数は今回の上昇で200日移動平均を超える。さらに、9割超の構成銘柄も、各200日移動平均を超える。大規模な下落相場が終わる前に、個別銘柄がここまで上昇するのは初めて見た(ファイナンシャルエンハンスメントグループ、アメリカの投資助言会社)。
・オプション市場は慎重。S&P500指数が3か月以内に10%以上上昇する確率12%に対し、10%以上下落する確率は29%。
記事内のデータを見ると、今回は過去のパターンとは全く違うということがよくわかりました。今後の動きを予測するのは難しいです。
別の記事によると、アメリカ政府は企業や国民に対し、追加の支援策を検討しているとのこと。これが実現すれば、さらに株価上昇の追い風になりそうです。
個人的には今後も上昇し続けるような気がします。大統領選挙を控える現政権は株価が大きく下がることを嫌うでしょうし。
では株を買うかというと、割高感が強く、私は今、追加投資する気にはなれません。前回は3月に投資しましたが、あの割安感が忘れられません(^^;
短期的にみると可能性は高くありませんが、 どこかで大きく下げる方に賭けたいと思います。
以上
◆参考文献
Reuters、"焦点:デモもコロナもまるで無視、米株の歴史的急騰に投資家困惑"
https://jp.reuters.com/article/analysis-us-stock-idJPKBN23A0KT