7/22付けのCNBCの記事を読みました。元インド中央銀行のトップで、現在はシカゴ大学教授のRaghuram Rajan氏が、新型コロナウイルスワクチン開発後の世界経済について述べています。悲観的な内容です。
◆要約
・今週、将来有望な新型コロナウイルスワクチンの開発に関するニュースに市場は沸いているが、同ウイルスに影響を受けた経済的打撃はここから長く続くだろう。
・長い間、収益がなく、しかしコストがかかることになると、これから多くの企業が気付くだろう。これらの企業には復活の機会はなく、倒産に向かっていることを示唆する。
・医学雑誌のThe Lancetによると、(アストラゼネカと協業する)オックスフォード大、ファイザー、ドイツのバイオテックが開発するワクチンが現在有望とされている。
・仮に、2020Q4にワクチンが承認され、予防接種が開始されたとしても、経済への悪影響は出る。多くの人々がワクチンを接種する必要がある。早い段階で接種できた人々は、来年半ばまでには混雑した場所に安心して行けると考えるのでは。計画通りに物事を進めても、思い通りにはならないだろう。
・経済が100%稼働に戻るにはまだ時間がかかる。今週、EUは8570億ドルの新たな財政政策を発表。また、各国で感染の再拡大がみられる。オーストラリアのメルボルンでは部分的なロックダウンを開始。
・人々が自信を取り戻すまで、(レストラン、観光など)人々との接触が多い仕事が再開するまで、95%経済が続く。新型コロナウイルスの影響が大きいセクターを、各国は長期的に支える仕組みを考える必要あり。
・感染拡大は世界の保護貿易主義拡大につながる可能性があると、専門家は警告。保護貿易主義の台頭は、経済の回復をさらに遅らせる。農業、鉱業などの産物の輸出に依存する国々は、より大きなダメージを受ける。
この記事を読んで思いましたが、これからの経済動向について、私は結構楽観的な考えをしていました。この記事に出てくる専門家のようには考えていませんでした。
経済へのダメージは長く続く、ワクチン接種が始まったとしても経済が正常化するには時間がかかる、悪い状態が続くとその分、業績悪化、倒産する企業も増える、どれも言われてみれば納得できます。
どこか楽観的に考えていたのは、株価の上昇があったせいかもしれません。もうちょっと悲観的に考えるようにします。
95%経済という言葉が記事の中で使われています。95%ならましなのでは?と初めは思いましたが、GDPが5%減少すると考えるととんでもないですね。(生活様式が変わり)元に戻らない業界も出てくるかもしれませんので、GDPがコロナ前の規模に戻るのは何年もかかるかもしれません。
ワクチン開発が進んでいるニュースが最近多いですが、それと並行して企業の人員削減のニュースもよく目にします。人員削減は日本も含めてまだまだ止まりそうにありません。また身構える材料が増えました。
以上
◆参考文献
CNBC、"Pandemic’s economic hit will be here ‘for a long time’ even if a vaccine is approved, economist says"