11/6付の日経新聞の記事を読みました。元ネタはFinancial Timesです。企業が開発を競っている新型コロナウイルスのワクチン、治療薬の市場が将来有望であることを記事は解説しています。以下要約です。
◆要約
・新型コロナウイルスワクチン市場は年間で100億ドル超の規模が見込める。ワクチンを毎年接種、1回当たり約20ドルの費用が条件(モルガンスタンレー、クレディスイス)。
・アメリカだけで年間100億ドルに達する可能性も(クレディスイス)。
・年間100億ドルは、10個の大型医薬品の年間売上高に相当する。
・新型コロナウイルスのワクチン、治療薬開発のため、製薬業界はこの8か月で政府から数十億ドルの資金を獲得。ワクチン、治療薬が実現すれば、企業は公的資金を基に収益を得ることになる。
・アストラゼネカ、J&Jなど一部企業は、利益なしでワクチン、治療薬を提供することを約束。ただし、これは感染拡大の最中のみ。コロナ終息後は利益を得る可能性も。
・インフルエンザよりも、新型コロナウイルスの市場規模は小さい。ただし、同ウイルスの医療費は年間数十億ドルになる可能性も(モデルナ)。
・新型コロナウイルスワクチン、治療薬の市場規模について、アストラゼネカ、JNJからはコメントを得られず。ファイザー、ドイツのメルクも同様。
・開発中である新型コロナウイルスの抗体薬には、長期的な需要を見込む。ワクチン開発後も、感染拡大は止まらない。ワクチンを接種しない(できない)人も出てくる(イーライリリー)。
・新型コロナウイルスワクチンの接種頻度により、市場規模は変わる。この点がまだ不明確(クレディスイス)。
・コロナウイルスワクチン市場が独占される可能性は低い。感染拡大が続く間は、承認された全てのワクチン、治療薬が求められる。しかし、コロナ終息後は、より効率的なワクチン、治療薬を開発した企業、また医療機関と良好な関係を持つ企業が、有利となる可能性あり(SVBリーリンク、アメリカの投資銀行)。
・製薬業界にとって、新型コロナウイルスワクチン、治療薬はドル箱になるのでは(パブリック・シチズン、アメリカの消費者保護団体)。
新型コロナウイルスのワクチン、治療薬の市場規模は、10個の大型医薬品の年間売上高に相当する可能性があるとのこと。この数字は魅力的ですし、公的資金の援助も受けられるので、各企業が開発競争に加わるのも理解できます。
先週、同ワクチンに関する良いニュースを発表したモデルナ(MRNA)の株価は、2020年2月の$20から、今は$100まで上昇しています。
ただ、開発を主導している全ての企業の株価が上昇しているわけではなく、例えばファイザーの株価は、変動はあるものの、現在の株価は1年前と変わっていません。
私が保有するメルク、J&Jもワクチン、治療薬開発を進めているそうですが、株価は同様に変わっていません。メルクに至っては、2019年末の高値圏($91台)から$10程度低いです。
ワクチン、治療薬の市場規模はまだ不確定なので、株価にあまり反映されていないのでしょうか?それとも、あまり収益に繋がらないと判断されているのか?
100億ドル超という金額を、いくつかの企業で分けると考えると、そこまで大きな金額にはならないと判断されているのかもしれません。不確定要素も多いですし。私も安易に、関連銘柄に飛びつかないよう気を付けたいと思います。
以上
◆参考文献
日経新聞、"[FT]コロナワクチン、毎年接種で100億ドル規模の市場に"
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65916210W0A101C2000000/