12/1付のSeeking Alphaの記事を読みました。最近、バークシャーハサウェイが購入した医薬品銘柄について解説しています。以下要約です。
◆要約
・バークシャーハサウェイが公開した最新の資料によると、同社は最近、4つの巨大製薬会社(ABBV、BMY、MRK、PFE)の銘柄を購入した。
・質の観点からみると、4銘柄全て(バフェット氏の方針である)ワイドモートのある事業を保有しているようにみえる。
・特許を保有する薬品から構成される多角的なポートフォリオは、強い価格競争力を持つ。長い特許期間は、次の薬品を市場に生み出すための十分な時間となる。また、会社規模の大きさから、効率的な供給網を持ち、製造面で規模の経済が機能する。
・定量的な判断のため、EVA(Economic Value Added、経済付加価値)フレームワークを使う(EVAはリターンから資本コストを差し引いた価値。プラスなら投資家の期待を上回っている)。
・EVA margin(EVA/Sales)が5%あれば良い企業と言える。5%が10年続けば、モートを備えた優良企業。
<グラフ1>EVA margin(EVA/Sales)
(出典:evaexpress.com)
・上記のグラフから、この10年間、どの企業もEVAはプラス。ABBVとBMYは残り2社と大きく差をつけ、安定して2桁のEVA margin。MRKはキートルーダのようなブロックバスターが実を結び、ここ最近は大きく成長。PFEは、低マージンの特許切れパテントを最近売却したことで、上昇することが期待される。
・まとめると、定量的な観点からは、どの企業もワイドモートを備えているようにみえる。
>>>AbbVie(ABBV)
・表1は(ABTからスピンオフ後の)ABBVのEVAの実績、及び予測。
<表1>ABBVのEVA実績、及び予測
(出典:Author's calculation based on data from evaexpress.com)
・我々の(正確さに欠けるが、fair valueを算出する)discounted EVA valuation modelを使うと、ABBVのfair valueは$101。
・グラフ2は、現在のABBVの株価($105)を基準にした年間リターン予測(6%の年間増配率、自社株買いなしが条件)。
<グラフ2>ABBVの年間リターン予測
(出典:Author's calculation based on data from evaexpress.com)
>>>Bristol-Myers Squibb(BMY)
・表2はBMYのEVAの実績、及び予測。
<表2>BMYのEVA実績、及び予測
(出典:Author's calculation based on data from evaexpress.com)
・我々のdiscounted EVA valuation modelを使うと、BMYのfair valueは$116。
・グラフ3は、現在のBMYの株価($63)を基準にした年間リターン予測(3%の年間増配率、自社株買いなしが条件)。
<グラフ3>BMYの年間リターン予測
(出典:Author's calculation based on data from evaexpress.com)
>>>メルク(MRK)
・表3はMRKのEVAの実績、及び予測。
<表3>MRKのEVA実績、及び予測
(出典:Author's calculation based on data from evaexpress.com)
・我々のdiscounted EVA valuation modelを使うと、MRKのfair valueは$119。
・グラフ4は、現在のMRKの株価($80)を基準にした年間リターン予測(5%の年間増配率、年2%の自社株数減少が条件)。
<グラフ4>MRKの年間リターン予測
(出典:Author's calculation based on data from evaexpress.com)
>>>ファイザー(Pfizer)
・表4はPfizerのEVAの実績、及び予測。
<表4>PfizerのEVA実績、及び予測
(出典:Author's calculation based on data from evaexpress.com)
・我々のdiscounted EVA valuation modelを使うと、Pfizerのfair valueは$30。
・グラフ5は、現在のPfizerの株価($37)を基準にした年間リターン予測(5%の年間増配率、自社株買いなしが条件)。
<グラフ5>Pfizerの年間リターン予測
(出典:Author's calculation based on data from evaexpress.com)
・バークシャーハサウェイが購入した4つの製薬銘柄は、何れも質が高く、ワイドモートを備えた企業。
・我々のバリュエーションモデルは様々な結果を描き出す。PFEはトータルリターンが良くない。ABBVの1桁リターンは賞賛するほどではない。MRKとBMYは過小評価されており、2ケタのリターンをもたらすようにみえる。
実際の記事の中では、バリュエーションの細かい算出方法が記載されていました。
記事の筆者は、ABBV、BMY、MRK、PFE、何れもワイドモートのある事業を保有していると判断しています。メルクは私も保有する銘柄です。
何れも配当率が高く、SBI証券のサイトで掲載されている評価レポートの企業評価(元ネタはモーニングスター)も悪くありません。ですので、資金に余裕があれば買ってもいいかなと思います。バークシャーハサウェイが購入したという後ろ盾があると、安心感があります。
分散させたいので、買うならメルク以外のものを選択します。記事を信じるなら、BMYがよさそうです。PFEとABBVは、今は大きく上昇しています。
先の2銘柄と比較すると、BMYはそこまで上がっていませんが、非常にボラティリティの高い値動きをしています。待てばその内、下がりそうなので、下がるのを待ちたいと思います。
以上
◆参考文献
1)Seeking Alpha、"Buffett Buys Pharma: Two Out Of Four Seem Compelling"
https://seekingalpha.com/article/4392293-buffett-buys-pharma-two-out-of-four-seem-compelling
2)グロービス経営大学院、EVAとは
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11638.html