4/26付の日経新聞の記事を読みました。アップルの広告事業拡大に関する話です。内容はアップル自身が発表したものではなく、当事情に詳しい関係者のコメントが基になっています。以下、記事の要約です。
◆要約
・(アプリケーションソフトウェアのダウンロードサービスである)App Storeで、アップルは検索広告を販売中。
・アプリケーションソフトウェアの提供者がこの広告を購入すれば、ユーザーが検索後、同ソフトウェアの名前が最上位に来る仕組み。
・アップルは同検索ページのアップデートを検討中。これが実現すれば「あなたにおすすめ」に広告枠が1つ追加される。この枠は個別検索ではなく、全体のネットワークを通して広告が表示されることになる。この新機能は4月末までに導入予定。
・アップルはノーコメント。
・デジタル広告の市場規模は約3,500億ドル。先の機能拡張は、この市場にさらに食い込んでいこうとするアップルの姿勢が見て取れる。
・近日中に配信予定の「iOS 14.5」では、アプリケーションソフトウェアや広告主がユーザーの情報を収集する際は、ユーザーの同意が必須となる。おそらく、大半のユーザーは同意しないため、デジタル広告の仕組みが大きく揺さぶられることになる。
・アップルは、プライバシー保護を目的とした変更と主張。同社の広告事業はまだ小さく、今回の変更が同事業の強化に繋がると批判する人もいる。
・アップルはデジタル広告市場で主要プレイヤーになることを目指している。2010年、(モバイル広告事業を担った)クアトロ・ワイヤレスを買収。同年、アップルはiADサービスを開始。これはモバイルアプリ向けの広告事業。しかし、2016年に同サービスは終了。
・オンライン広告市場の年間売上高は3,780億ドル(インサイダー・インテリジェンス、アメリカの市場調査会社)。グーグルとフェイスブックが同市場の2強。アップルは両社の(大量のデータを基に広告対象を絞る)ビジネスモデルを批判。
・App Store上の検索広告の売上は年20億ドル、利益率80%と見込まれる(バーンスタイン)。加えて、アップルは株式、ニュース配信のアプリケーションソフトウェアでも広告枠を販売中。
・iOS 14.5上での新ルールが適用されれば、ターゲット広告の効力が下がる可能性あり。そうなると、導入検討中である「2つ目の広告枠」が市場にとって魅力的になる可能性あり。
・この新ルールと2つ目の広告枠でのアップルの目的は、収益源を増やすことだけではなく、App Storeがアプリケーションソフトウェアを探す第一のプラットフォームになること(エリック・ゾイフェルト氏、モバイル広告の専門家)。
・これが実現すれば、iPhoneの活用方法、支持されるアプリをアップルが決められる(エリック・ゾイフェルト氏)。
この記事で書かれていることが現実になると、アップルの広告市場での存在感が高まりそうです。アップルがこのようなことを考えているとは知りませんでした。
すでにサービス部門の売上が好調なアップルですが、広告事業も新たな柱になるなら、将来がまた楽しみになります。
ただ、アップルが強くなりすぎると、行政機関から規制が入ると思いますので、楽観視はしないようにします。
記事の話が現実になるにつれ、アルファベットとフェイスブックの株価が影響を受けるでしょうか。今後の展開に注目したいと思います。大きく下げることがあれば、両社の株も購入したいです。
以上
◆参考文献
日経新聞、"[FT]Appleが広告事業拡大へ 競合に打撃も"
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB263IJ0W1A420C2000000/