6/11付のCNBCの記事を読みました。最近、テクノロジー株への支持が復活しており、バリュー株への資金移動はすでに終わったかもしれないと、記事は解説しています。以下要約です。
◆要約
・(キャタピラー、銀行など)経済再開銘柄を支持していた投資家、テクノロジー銘柄、及びその他グロース株を避けていた投資家は、戦略を再考しているようにみえる。
・経済再開銘柄の多くは4月~5月初旬が高値のピークだった(グラフ1参照)。
<グラフ1>52週高値からの下落幅(%)
(出典:FactSet、6/10時点)
・バリュー株トレードの最後を飾る銀行銘柄もまた下落している(グラフ2参照)。
<グラフ2>今週の銀行株の下落幅(%)
(出典:FactSet、6/10時点)
・投資家は代わりに、古いけど魅力的なグロース株に資金を移し始めている。6/10、シスコシステムズ、IBMは年初来高値を、アルファベットは過去最高値を更新。
・より重要なのは、以前は人気のなかった投機的なグロース株(多くはARK Fundが保有する)が反発し始めている。
<グラフ3>5/12以降の投機的グロース株のパフォーマンス
(出典:FactSet、6/10時点)
・市場のストーリーが変わっている。21年Q1の想定されていたストーリーは、経済再開銘柄がとても強くなり、債券利回りは上昇、今年後半にインフレ率が問題になるというもの。
・部分的には正しかった。経済再開銘柄は強い。しかし、債券利回りは下落。投資家は、1)インフレと供給問題は一時的なものになるかもしれない。そして、2)21年Q2~Q3は、企業収益、経済成長がピークになる、と信じるようになっている。
・バリュートレードは巻き戻しており、グロース株信者が勝者になっている。債券利回りは成長見通しの代理人。債券投資家は今年後半、インフレは適度なものに、成長はより緩やになるとみている(Tactical Alpha、投資ファンド)。
・投資家は市場に留まっているが、ヘルスケアなどのディフェンシブ銘柄、テクノロジーなどのグロース株に資金を移動させている。
・なぜ投資家はグロース株へ資金を移動させているのか?
・景気後退から抜け出した後、景気循環の初期段階で、バリュー株はより収益を生み出す。そのため、よりよい投資先となる(Tactical Alpha)。
・問題は、今回、全てが圧縮されていること。我々は素早く景気後退に突入し、そこから早く抜け出した。グロース株は今、より信頼できる成長をもたらし、また、景気循環の気まぐれによる影響度がより少ない(Tactical Alpha)。
・歴史、バリュエーション、ポジショニング、経済の減速は、グロース株からバリュー株への大半のローテーションはすでに終了していることを示唆する(ゴールドマンサックス)。
・今回のバリュー株へのシフトは、同株への比重がかなり大きかった。投資ファンドはバリュー株への比重が、この8年間で一番大きかった(ゴールドマンサックス)。
・ヘッジファンドはグロース株比重が高いままだった。しかし最近、その比重は急激に下落、この5年超の間で、グロース株の比率が一番低い状態になった(ゴールドマンサックス)。
4月末から下落し始めたナスダック指数ですが、5月中旬から上昇基調へ、今は4週連続で上昇しています。市場の考え、動きに変化があったのかなと思っていましたので、ちょうど良い記事でした。
今回の記事を読んで思ったのは、専門家の言葉に依存しすぎず、自分の判断で(期待できそうな)セクターを選ぶのもありだなということです。
短期間で支持されるセクターが変わると、ニュース記事を読んだあとで動いているようでは間に合いません。日頃から株価の動向をみて、「動きがいつもと違う。変わったかな?」と感じたら、ある程度自分の感覚を信じたいと思います。
個別の銘柄だけではなく、セクター別での株価変動を追いかけるのも大事ですね。勉強になりました。
以上
◆参考文献
CNBC、"The great value rotation in the stock market may already be over as investors embrace tech again"