7/4付のSeeking Alpahの記事を読みました。半導体業界に関する分析記事です。今、半導体関連銘柄は好調ですが、いつまでも続くものではないと、投資家に注意を促す内容です。以下、記事の要約です。
◆要約
・2021年上期、半導体業界は好調で終えた。SPDR S&P500 ETF(SPY)が14.5%、Invesco QQQ ETF(QQQ)が13%同時期に上昇したのに対し、iShares PHLX Semiconductor ETF(SOXX)は19.8.%上昇。
・しかし、21年Q1と21年Q2とではかなりの差がある。SOXXを構成する30銘柄(及びSPY、QQQ)の過去1~12か月のパフォーマンスを下記表に列挙する。
<表>SOXX構成銘柄の過去1~12か月のパフォーマンス
Stock |
Weight % |
Change – 12 months |
Change – 6 months |
Change – 3 months |
Change – 1 month |
Change - YTD |
NVDA |
9.37% |
110.60% |
54.54% |
49.85% |
22.98% |
53.22% |
AVGO |
7.68% |
51.09% |
11.14% |
2.84% |
1.82% |
8.90% |
INTC |
7.55% |
-6.17% |
13.67% |
-12.28% |
-1.32% |
12.69% |
QCOM |
5.54% |
56.70% |
-3.74% |
7.80% |
6.71% |
-6.18% |
5.31% |
51.45% |
19.31% |
1.75% |
1.75% |
17.16% |
|
MRVL |
4.27% |
66.37% |
26.17% |
19.09% |
22.16% |
22.70% |
4.25% |
78.54% |
3.65% |
19.66% |
16.24% |
2.42% |
|
ADI |
3.96% |
40.38% |
19.84% |
11.01% |
5.17% |
16.54% |
AMAT |
3.90% |
135.57% |
68.98% |
6.59% |
3.03% |
65.01% |
KLAC |
3.90% |
66.71% |
27.46% |
-1.87% |
2.69% |
25.22% |
LRCX |
3.81% |
101.17% |
37.50% |
9.32% |
0.26% |
37.78% |
ASML |
3.75% |
87.71% |
42.73% |
11.90% |
2.83% |
41.65% |
MU |
3.74% |
64.95% |
21.04% |
-3.66% |
0.99% |
13.04% |
NXPI |
3.73% |
80.39% |
31.95% |
2.18% |
-1.05% |
29.38% |
TSM |
3.69% |
111.66% |
13.83% |
1.59% |
1.39% |
10.20% |
MCHP |
3.64% |
42.19% |
10.97% |
-3.53% |
-3.59% |
8.42% |
XLNX |
3.05% |
47.01% |
3.39% |
16.74% |
13.06% |
2.02% |
SWKS |
2.79% |
49.97% |
27.48% |
4.51% |
12.54% |
25.43% |
MXIM |
2.49% |
73.83% |
22.48% |
15.31% |
4.18% |
18.85% |
TER |
1.98% |
58.51% |
14.30% |
10.09% |
2.43% |
11.74% |
QRVO |
1.95% |
77.01% |
19.47% |
7.09% |
6.92% |
17.67% |
ENTG |
1.47% |
108.25% |
30.31% |
9.99% |
7.86% |
27.96% |
ON |
1.45% |
93.14% |
20.91% |
-8.00% |
-4.08% |
16.96% |
MPWR |
1.45% |
57.57% |
6.04% |
5.73% |
9.06% |
1.97% |
STM |
1.04% |
32.73% |
-1.09% |
-5.09% |
-2.83% |
-1.99% |
CREE |
1.03% |
65.45% |
0.75% |
-9.43% |
-1.14% |
-7.53% |
MKSI |
0.87% |
57.14% |
18.09% |
-4.03% |
-4.09% |
18.28% |
OLED |
0.86% |
48.60% |
-3.30% |
-6.10% |
3.68% |
-3.25% |
UMC |
0.73% |
257.95% |
13.72% |
3.73% |
0.64% |
12.10% |
0.55% |
77.31% |
40.24% |
4.55% |
-1.71% |
37.84% |
|
|
|
|
|
|
|
|
SOXX |
|
67.69% |
22.18% |
7.13% |
5.27% |
19.79% |
QQQ |
|
43.15% |
13.25% |
11.06% |
6.49% |
12.97% |
|
38.82% |
15.24% |
8.01% |
2.00% |
14.49% |
(出典:iShares)
・各半導体銘柄のパフォーマンスは低下中。Q2はQ1ほど良くなかった。パフォーマンス低下の兆候はQ1の後半にみえており、低下はQ2に入っても続いた。
・Q3に反発するかもしれない。4~5月と比較し、6月は良かったため。
・今好調な半導体銘柄は大きく2つに分けることができる。半導体製造装置銘柄と、自動車向け半導体銘柄。
・2021年上期、AMAT(世界最大の半導体製造装置メーカー)は65%上昇。同業他社にはLRCX、KLAC、AMAT、MKSIがある。この上昇の大半はQ1。
・NXPIのような自動車向け半導体メーカーの株価変動も同様。こちらはQ2に関しては、よりパフォーマンスが悪かった。同業界に大きく依存するCREEの株価は、同業の中で一番パフォーマンスが悪かった。
・上記リストの中で年初来で株価がマイナスなのは、CREE、QCOM、STM、OLEDの4社。QCOMは売上、純利益は成長しているものの、懸念事項はある。例えば、アップルはQCOMの成長を支えるが、アップルは自社製半導体へ置き換えようとしている。
・大半の半導体関連企業はQ2よりもQ1の方がパフォーマンスは良かった。一部例外も。NVDAの年初来の上昇53.2%の大半はQ2で起こった。同銘柄は上記表の中で今、一番勢いがある。AMD、XLNXもQ1よりQ2のパフォーマンスが高かった。
・INTC、MRVL、MXIM、ADIの株価上昇率は、今年に入り下落傾向。
・CREE、STM、ON、NXPIは自動車向け半導体不足から恩恵を受けた。しかし、Q3に入り、状況は変わりそう。ここまでの上昇は憶測によるところが大きい。
・自動車向け半導体の供給が改善される見込みなので、CREE、STM、ON、NXPIは2021年後半、かなりの株価調整が起こるかもしれない。投機的な環境下、企業の収益成長は見過ごされがち。同環境がなくなれば、代わりとなるものを企業は見せる必要あり。
・2020年終わりから2021年前半にかけ、半導体関連銘柄は上昇。上昇した理由の1つは、バイデン政権による景気刺激策への期待。次に半導体チップの不足。
・2021年に19の半導体チップ工場の建設が開始される。しかし、同工場の急増は好不況循環の繰り返しを生む。過去に、半導体業界はこの循環に悩まされてきた。この循環が今回も実現するなら、半導体業界はこれから不況に向かう。
・5G、AI、IoTなど半導体の使用数は増加する。しかし、過去の歴史をみると、半導体の需要が増えても、半導体不況を避けることはできていない。
・過去と違い、今の半導体ブームは地政学的な要因で拡大している。半導体業界は短期的には同業界への投資から恩恵を受ける。長期的には需給バランスが崩れるだろう。
・半導体業界は良い投資対象であり続ける。同業界の追い風要素の大半は残る。アメリカ、中国が国内生産の拡大を諦めるとは考えにくく、半導体製造装置企業は恩恵を受ける。
・半導体不足は改善されていくだろう。これにより企業収益が減っても、その他要素がカバーするので、短期的には問題ない。しかし、長期的には影響あり。
・供給過多による不況を切り抜ける良いポジションを取る銘柄は、簡単に汎用化できないチップを作る企業銘柄。現段階で、不況は差し迫ったものではないかもしれないが、そこに向かっていると思われる。半導体銘柄は今は良く見えるが、無期限に保有するものではない。
今年の3月~5月にかけ、私は半導体関連銘柄を購入してきました。株が買われ過ぎなのも、中期的には供給過多になる可能性が高いのも理解しています。
それでも(自分が買った銘柄の企業は)長期的には、市場の想定を超えて需要が高くなると期待しています。
まあ、素人の考えなのでうまくはいかないでしょう(^^; 今、半導体関連銘柄は下げ始めているので、私はあまり良くないタイミングで株を買ったようです。
今回読んだ記事の最後では、半導体銘柄は無期限に保有するものではないと言っています。(GAFAMと違って)成長は有限ということでしょうか。だとしたら、半導体業界でM&Aが多いのも納得できます。
今年後半、半導体関連銘柄の値は大きく下げるかもしれません。しばらくは様子見ですね。大きく下げた時、資金に余裕があれば、買いたいと思います。
以上
◆参考文献
Seeking Alpha、"Semiconductors Winners And Losers Heading Into The Second Half Of 2021"