8/30付のReutersの記事を読みました。目先、テーパリング(段階的な金融緩和縮小)が意識されていますが、テーパリングが始まっても株価の上昇は続くだろうと記事は解説しています。以下要約です。
◆要約
・8/27、ジャクソンホール会議でのFRBパウエル議長の発表内容は慎重。市場はそう受け止めている。テーパリング開始時期については明言を避ける。
・この結果、フェデラルファンド(FF)金利先物(FF金利を参照する金融派生商品。将来のアメリカ政策金利を想定して取引される)が上昇。FRBによる早期テーパリング開始の可能性が低くなると見込まれている。
・FRBパウエル議長は金融緩和政策終了を急いでいない。テーパリング発表は9月ではなく、11月と予想(シティグループ)。
・テーパリング発表が9月、11月のどちらになっても、またテーパリング開始時期が年明けではなく年内になっても大差ない。市場の想定内。
・テーパリング開始=FRBのバランスシート縮小ではない。開始しても資産は増え続ける。減少に転じるのは(前回と同様に)利上げが始まった後と見込まれる。
・前回の金融緩和政策実施時は、12年9月に金融緩和開始→13年12月にテーパリング発表→14年1月からテーパリング開始→15年12月より利上げ開始→17年10月よりバランスシート縮小開始という流れであった。
・テーパリング開始、バランスシート縮小開始の間は3年9か月。この間、NYダウ平均はおおよそ30%上昇、アメリカ10年長期国債利回りは0.6%下落。
・テーパリング終了後も市場に資金は大量に残る。より良い利回りを求めて、資金は移動する(みずほ証券)。
・コロナ後、政府、民間企業は債券を大量発行。アメリカ含め、世界経済は弱っており、利上げに対応できない。そのため、FRBは金融緩和縮小に時間をかけている(野村証券)。
・21年1~3月期の世界債務残高は289兆ドル。このような背景で、金利2.5%(FRBの目標)への到達はまず無理。約1.5%程度と市場は予測する(野村証券)。
・大量の資金、低金利により、相場は上昇を続けるとみる。一方で、実態経済とは温度差があることも理解する必要がある。そのため、株価調整、バブルのリスクも併せて高まっていく。
テーパリングを中期的な視点でみることができる記事でした。読んでよかったです。
前回の金融緩和政策実施時、テーパリング開始~バランスシート縮小開始までの3年9か月、この間でNYダウ平均は約30%上昇したとのこと。
最近の株価上昇率と比較するとかなり物足りないですが、それでも(結果的に)上昇を続けたという実績が出ているので、今回、テーパリングが始まった後も、安心して投資を続けられそうです。
先の同じ期間、アメリカ10年長期国債利回りが0.6%下落したというのも気になります。今回も同様のことが起こるなら、株価上昇の材料になります。
今回の記事を読んで、株価は数年間上昇基調、ただし、いつ暴落するかはわからない、と捉えました。少し先を見据えて考えることで、気持ちが楽になりました。
以上
◆参考文献
1)Reuters、"アングル:「宴」は続く、年内テーパリングでもカネ余り相場変わらず"
https://jp.reuters.com/article/idJPKBN2FU0NP
2)三井住友DSアセットマネジメント、"「FF金利先物」とは(米国)【キーワード】"
https://www.smd-am.co.jp/market/daily/keyword/archives/usa/1248523_1982/