10/16付の日経新聞の記事を読みました。元ネタはフィナンシャルタイムズです。従来のエネルギー源から、環境負荷が少ないエネルギーへの移行が今は求められていますが、移行期の今、石油を過度に敵視しないよう主張しています。以下、記事の要約です。
◆要約
・オカド(イギリスのネットスーパー)は、アイスクリームの配送が滞ると9月下旬、顧客に通達した。天然ガスの急騰→工業用肥料工場停止→CO2不足→ドライアイス不足という背景があったため。CO2は食肉処理工場、病院、原子力発電所でも使用されており、今回は問題になっている。我々の生活が化石燃料に大きく頼っていることを気づかせてくれた。
・エネルギーの使用量はその時々で変わる。50年前と比較すると、我々は3倍のエネルギーを使用している。この増加ペースから考えると、そう遠くないうちに使用量は倍になる見通し。
・化石燃料からクリーンエネルギーへの移行を検討する際、将来のエネルギー使用量増加も考慮する必要がある。
・(技術的な課題が解決できれば)太陽光パネルを地球上の土地の0.1%に設置することで、世界のエネルギー需要を満たせることになる。しかし、(エネルギー需要の増加率を年2.4%と仮定すると)300年後の同エネルギー需要を満たす場合、世界中の全ての土地にパネルを設置する必要がある(英ランカスター大学マイク・バーナーズ・リー教授)。
・この見解はイノベーションを考慮していない。しかし大事な点は、エネルギー使用量は増加し続けるということ、また、エネルギー源の変更には膨大な時間を必要とすること、終わりが見えないということ。
・(木材、生物が源となる)バイオマスエネルギーが生まれたのは100年前。我々は100年前と同じ量の同エネルギー源を使用する。石炭、石油、天然ガスは世界のエネルギー使用量の8割を占める。10年前とほとんど変わらず。何れは状況が変わるだろうが、時間がかかる。
・化石エネルギーは採掘、運搬が容易で、効率が高く、安い。同エネルギーへ移行する理由はたくさんあった。しかし、今日のエネルギー移行は規制が理由。
・エネルギー移行にあたって、我々は長期的に化石エネルギーを頼る必要あり。同エネルギーを悪者にするのではなく、同エネルギーをより環境負荷の少ない、より効率的な手段で採掘することを考えるべき。その間、次世代エネルギーの研究、開発を進める。
株式投資を始めた当初、石油需要は将来が不透明、また、ESGのトレンドがあり資金が集まりにくいと考え、私は石油企業から目を背けていました。
その後、石油需要は簡単に消滅しないと解説する記事を読んだことで、考えを改めるようになりました。
ESGのトレンドは残り続けますが、大手石油企業は将来、新エネルギーへの事業転換をうまくやってくれるだろうという期待(願望)もあります。
石油企業への関心が出てきたことで、今回のような記事にも目が留まるようになってきました。今は価格の高騰もあり、エネルギーに関する議論が盛り上がりそうです。
石油企業銘柄に株価上昇は期待していませんが、事業は末永く続いてくれると期待しています。高配当、増配銘柄として自分のポートフォリオには入れておきたいと思います。
以上
◆参考文献
日本経済新聞、"[FT]石油を過度に排除するな 移行期、採掘法の改善を"
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB291J10Z20C21A9000000/