11/23付の日経新聞の記事を読みました。11/22、次期FRB議長に、現職のジェローム・パウエル氏を再任する方針であることをバイデン大統領が発表しました。この発表に対する専門家の見解が記事になっています。以下要約です。
◆要約
・パウエル議長の指名は予想通り。発表後の市場の反応は、22年6月から利上げ開始、22年後半~23年にかけて利上げペースが加速という見通し。この反応は、政策がよりタカ派になると見込んでいるよう。
・バイデン大統領により、あと2~3人の理事が指名される。FOMCは、よりハト派になるとみる。
・22年、インフレ率は落ち着き、経済成長も鈍化すると予想。これは、FRBが利上げ開始を23年に持ち越す材料になると考える。
・FRB(パウエル議長)の政策は22年も継続。これは株式市場を支える。金融政策は、市場予想よりもハト派になるとみており、大半のセクターにとってはよい材料。22年のアメリカの長期金利は、2.25%~2.50%で着地すると予想する。
<ディシジョン・エコノミクス(アメリカの調査会社)>
・パウエル議長の指名を市場は喜んで受け入れる。
・市場は継続、安定を好む。パウエル議長の再任は株式市場にとっても歓迎。同氏は市場とのコミュニケーションがうまい。
・今後、市場の目は、テーパリング(段階的な金融緩和縮小)のペース、及び利上げ開始時期に向けられる。FRBは「ビハインド・ザ・カーブ(インフレに対し、利上げ時期を遅延させる金融政策)」を実行中。FOMCメンバーは早期のテーパリング完了を支持しており、同政策の見直しが検討されるとみる。
・利上げ開始時期は22年9月より前に、同年の利上げ回数が3回になる可能性あり。アメリカ経済は強く、インフレ進行、雇用回復は予測を超えている。
・22年11月にはアメリカ議会の中間選挙がある。経済が好調、失業率が低ければ、歴史的に与党が勝つ。空席になっているFRB理事は、ハト派メンバーが選ばれる可能性が高い。
<ポール・シェアード氏(ハーバード大リサーチフェロー)>
・議長にパウエル氏を、副議長にブレイナード氏を指名したことはごく自然で、良い判断であった。FRB議長を交代させた前大統領の判断とは異なる。今回の判断は、独立したFRB、政策の継続性を訴えるもので評価する。
・インフレは一時的、FRBのこの判断をアメリカ政府は黙認。FRB理事会には空席が3つできる。バイデン大統領の指名次第で、今後の金融政策への同政権の影響力が変わる。
<ニューヨークライフ・インベストメンツ(アメリカの運用会社)>
・現政策の継続、これがパウエル氏再任の大きな理由。投資家にとっては良い結果。FRB議長が変わっていたら、政策の不透明感が高まり、ボラティリティ上昇に繋がっていたはず。
・議長にパウエル氏、副議長にブレイナード氏、この組み合わせはインフレが進行する状況下でも、利上げを急がないということを意味する。しかし、状況によっては2022年内の利上げも。
・今回の指名は、短期的に株式市場などリスク資産にとってプラス。長期的にはアメリカ経済にもプラス。
専門家によると、パウエル議長再任は株式市場にとっては朗報という見解でした。継続、安定を市場は求めているとのこと。再任となったことで、株価調整の機会は減りそうです。
2022年、アメリカ経済の成長率は鈍化するという専門家の意見を、最近読む記事で見かけるようになってきました。今回読んだ記事でも、同じようにコメントしている専門家がいます。
来年にかけ、株価は上昇基調で推移していくとみておきます。ただ、先の成長率鈍化が、どこかの時点で株価に織り込まれていくと思いますので(すでに織り込まれているかもしれませんが)、その機会(株価調整の機会)を逃さないようにしたいと思います。
以上
◆参考文献
1)日本経済新聞、"パウエル議長再任、政策・株価への影響は 専門家の見方"
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN19EBD0Z11C21A1000000/
2)Virtual FX、"ビハインド・ザ・カーブ"