3/18付の日経新聞の記事を読みました。FRBを中心とした金融引き締めの話です。金融緩和開始から、これから始まる金融引き締めまでの推移、今後の懸念事項について記事は解説しています。以下要約です。
◆要約
・3/15~3/16のFOMCでFRBは利上げを決定。2020年3月にゼロ金利、金融緩和政策を導入し、以降ゼロ金利を継続、今回の利上げが政策転換となる。
・FRBの保有資産は2年で2.25倍の9兆ドルへ激増。過去最速ペースでアメリカ国債などを購入したため。
・同時期、世界債務は303兆ドルへ増加。20年3月末から43兆ドル増加。これは世界GDPの約半数の金額。
<図>金融緩和政策導入から引き締めまでのマネー推移
(出典:日本経済新聞)
・今回のFRBの決定で、マネーの動きが巻き戻しされる。この2年間でNYダウ平均は50%超、アメリカ住宅販売価格は20%超の上昇、インフレ率は約8%弱に達した。インフレ率の上昇は半導体の供給不足など、想定外の事も要因となった。
・FRBは次の3年間で、保有する資産を約3割減の6兆ドルへ減らすと見込む(ゴールドマンサックス)。
・市場、企業、新興国がFRBによる金融引き締めを切り抜けられるかがポイント。
・1980年付近のアメリカのインフレ率は10%超。これはイラン革命が引き金となった原油先物価格急上昇が要因。この時は、FRBが政策金利を20%付近まで引き上げ、インフレを抑えた。しかし、その後の1980年代、アメリカは不況に、中南米国は債務危機に陥った。
・FRBの対応遅れにより、インフレは継続中。このインフレを抑えるため、FRBの金融引き締め策は当初想定よりも厳しくなるはず。これはスタグフレーションに繋がる可能性が高い(サマーズ元財務長官)。
金融緩和の巻き戻しに関する記事でした。この手の記事はこれまでも読んできました。引き締めを心配する声もありますが、(株式に関しては)そこまで心配する必要はないという意見の方が多かったと感じています(私がたまたまそういう記事を選んだのかもしれませんが)。
歴史上、利上げ時は経済が上向いている時が多く、株価も上昇基調になることが多かったというのが理由だったと思います。
今回読んだ記事は金融引き締め時のマイナス面を取り上げているようです。株価が大きく下落するかもしれないという過度な期待は持っていません(以前は期待していましたが)。すでに株価に織り込まれているはずなので諦めます。
ただ、1~2年ではなく、もう少し中期的な視点で考えると、株価に影響が出てくるかもしれません。記事でも言及されているようにスタグフレーションが起こる可能性があります。今回の金融引き締めは少し長い目で見ていきたいと思います。
以上
◆参考文献
1)日本経済新聞、"マネー収縮、世界に試練 世界の債務が2年で43兆ドル増"
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1250N0S2A310C2000000/
2)Reuters、"コラム:故ボルカー元FRB議長、いま問われる真の評価"
https://jp.reuters.com/article/people-paul-volcker-breakingviews-idJPKBN1YN0E2