3/23付のBloombergの記事を読みました。アメリカのダラス連邦準備銀行に所属するエコノミストが発表した研究論文の内容が記事になっています。以下要約です。
◆要約
・世界がロシアからのエネルギー購入を2022年末まで拒否し続けた場合、世界経済はリセッションに陥る。
・1991年にも景気後退に陥ったが、今回は当時よりも長期なものになる可能性あり。下記グラフはブレント原油先物価格推移と景気後退期を重ね合わせたもの。景気後退期には同価格が急上昇した歴史がある。
(出典:ICE Futures Europe Commodities)
・1990年にイラクがクウェートへ侵攻。これをきっかけに石油供給に問題が起き、同価格が急上昇。この時はサウジアラビアが原油を増産、供給問題の緩和に繋がり、アメリカのリセッションは1年未満で終了した。
・ロシアが供給してきたエネルギーの代替は難しい。サウジアラビア、UAEなどその他エネルギー供給国は増産に非協力的。アメリカにはシェールガスがある。しかし、サプライチェーンが抱える問題、また、労働力不足により、同ガスの増産は思うようにいっていない。
・ロシアからのエネルギー供給に期待したいが、金融機関が輸出を支援していないことが問題を大きくしている。
・世界ではエネルギーの供給不足が続く。エネルギー価格の大幅上昇、及び価格の高止まりは長期的に続く。特にEUではエネルギー価格の上昇により景気後退に繋がる可能性が高い。
・解決するにはロシアからのエネルギー供給を元通りにする必要あり。
今年中にロシアからのエネルギー輸出が再開されない限り、世界経済は景気後退に陥るとエコノミストは警告しています。
今年はあと8か月ありますので、まだまだ時間はあります。しかし、今のロシアに対する経済制裁はいつまで続くかわかりませんので、年内正常化せずというのは十分ありえそうと感じます。
エネルギー以外の値上がりも心配です。価格が上昇していくのはエネルギーだけではないので、景気後退入りの時期は早まるかもしれません。
3/24のアメリカ株式市場は大きく上昇しました。しばらくは上昇基調となるかもしれませんが、私はこの先の景気後退入りも視野に入れ、今は弱気姿勢でいきたいと思います。
以上
◆参考文献
Bloomberg、"ロシア産原油なければ、世界のリセッションは不可避に-ダラス連銀"
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-03-22/R95JWKT0AFB401