6/16付のReutersの記事を読みました。6/14~6/15のFOMCで、FRBは75bpの利上げを決定しました。FRBは7月のFOMCでも、50~75bpの利上げを視野に入れています。FOMC後のFRBパウエル議長の発表に対する専門家の見解がまとめられています。以下要約です。
◆要約
<Northern Trust Asset Management>
・市場は75bpの利上げを織り込み済み。ここ数日で市場予想は大きく変化。信頼向上のため、FRBはこの機会を活かし、75bpの利上げを決定した可能性あり。しかし一方で、フォワードガイダンス(将来の金融政策の方針)の有効性が失われた。
・カンザスシティー地区連銀総裁は75bpの利上げに反対。おそらく、今後フォワードガイダンスを説明するのに苦労することになるため。
<F.L.Putnam Investment Management>
・概ね予想通り。ソフトランディングの可能性は低くなった。さらなるインフレ、失業率上昇、GDP成長率の低下をFRBは見込む。
・景気後退入り回避も難しいが、FRBも想定内。
<Albion Financial>
・FRBは経済の急激な変化に対応できていないことを認めている。インフレ制御に注力することを改めて表明。
・2022年の景気後退入りの可能性は低い。2023~2024年の景気後退入りの可能性はこの数か月間で高まった。FRBのミス。
・カンザスシティー地区連銀総裁は75bpの利上げに反対。50bpで十分だと判断した理由が興味深い。
<CFRA Research>
・7月のFOMCでも75bpの利上げが選択肢にあることをパウエル議長が表明したことにより、市場は上昇。より積極的にインフレに対応するとFRBが決断したと市場は判断、上昇はその決断に対する市場の安心感。
<Homestead Funds>
・FRBも全力で対応しているが、まだインフレのペースに遅れずについていっているという段階。(食品、エネルギー価格も含んだ)総合インフレ率を低下させることが必要。
・フェデラルファンド金利(銀行間が資金を融通しあう際に適用される短期金利。FRBの政策金利)は2022年末に3.4%に到達すると予想されている。2021年末時点の予想は1%弱。
・2022年末のインプライドレート(将来の予想金利)は3.7%程度。市場は今回(6月のFOMC)の利上げ予想を、50bpから75bpへと数日間の内に変更した。この速さで予想が変わるなら、今後はあらゆることが選択肢として想定される。
今回の利上げ幅には驚きました。結果が出る数日前、ニュースを読んでいると市場が75bpの利上げを織り込んだと書かれており、半信半疑でしたが、結果、その通りになりました。
景気後退入りするかわかりませんが、経済成長はさらに鈍化しそうで、株価の下落も続きそうです。
ドル円は変わらず130円越え、大幅な円高は期待できませんが、株価がこのまま下落を続けるなら、追加投資できる機会は訪れそうです。期待が少しずつ高まってきました。
以上
◆参考文献
1)Reuters、"米FRB利上げ:識者はこうみる"
https://jp.reuters.com/article/instantview-fomc-idJPKBN2NW21Q
2)PIMCO、債券の基礎、"インフレーションとは"
https://japan.pimco.com/ja-jp/resources/education/bond-basic/fixed-income-1/what-is-inflation
https://www.sc.mufg.jp/learn/terms/f/025.html
4)財務省、ファイナンス令和4年6月号、"FF市場、およびFFレート入門"
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202205/202205d.pdf
5)iFinance、金融経済用語集、"インプライド・フォワード・レート"